上皮成長因子受容体(EGFR)阻害剤エルロチニブが、アジア人の進行非小細胞肺癌患者において、優れた忍容性と有効性が認められることが、国際的な大規模臨床試験「TRUST」の最終報告で明らかになった。香港Prince of Wales病院のTony Mok氏らが、11月12日から14日に茨城県つくば市で開催された第20回Asia Pacific Cancer Conferenceで発表した。

 TRUST試験は、52カ国7000人以上を対象としたフェーズ4試験。ステージ3B期または4期の非小細胞肺癌で、化学療法や放射線療法による前治療が無効もしくは前治療が不適切と判断された患者に、エルロチニブ1日150mgを病気進行または強い毒性が現れるまで投与した。

 解析対象は、中国、台湾、韓国、香港、タイ、インドネシア、マレーシアの1242人と、非アジア人の5344人。EGFR阻害剤の効果に影響する因子である「女性」の比率が、アジア群では46%、非アジア群では38%、「非喫煙者」はそれぞれ55%、25%、また「非扁平上皮癌」の比率は82%、75%だった。

 奏効率は、アジア群で27%、これに対して非アジア群は10%と低く、病勢コントロール率はそれぞれ78%、66%だった。無増悪生存期間の中央値はアジア群が5.78カ月、非アジア群が2.92カ月で、全生存期間の中央値はそれぞれ14.7カ月、6.8カ月と大きく異なった。

 また、皮疹の発現でアジア群の全生存期間を比べたところ、グレード0/1の皮疹の患者では12.2カ月であるのに対し、グレード2/4の患者では19.5カ月と全生存期間は延長した。

 アジア群におけるエルロチニブ関連の有害事象は207人(17%)に見られ、グレード3/4は27人(2%)と少なく、アジア人において新たな有害事象は見られなかった。エルロチニブ関連の間質性肺疾患は2人に認められ、グレード2の1人は回復したが、グレード4の1人は治療を中止したが改善せず、その後、呼吸不全で死亡した。

 投与量の減量は171人(14%)で行われ、有害事象による減量は164人(13%)、このうち71%は皮疹が原因だった。

 以上の結果から、「実地臨床において、幅広いアジア人にエルロチニブ治療は有用である」と結論付けている。