大腸内視鏡検査の施行前には、一般に絶食や下剤服用などが必要となる。しかし、高齢者ではこうした前処置による負担が大きく、問題となっていた。そこで、南大阪病院消化器科の柳生利彦氏らは、経腸栄養剤を用いることによって、下剤であるポリエチレングリコール製剤による従来の前処置が省略できる可能性について検討した。結果は、11月6日から7日に福岡で開催された第64回日本大腸肛門病学会学術集会で発表された。

 対象は80歳以上の高齢者34人で、ポリエチレングリコール製剤群18人、経腸栄養剤群16人に無作為に分けた。ポリエチレングリコール製剤群には、検査当日の朝にポリエチレングリコール製剤を2000mL内服してもらった。経腸栄養剤群には、検査前日に600〜1000mLの経腸栄養剤、当日朝に200〜250mLの経腸栄養剤をとってもらうこととした。

 腸管内の洗浄効果を各部位ごとにみたところ、上行結腸やS状結腸で経腸栄養剤群ではやや有形便が多い傾向にあったものの観察に支障を来すほどではなく、ポリエチレングリコール製剤群とも明らかな差はなかった。また、検査に伴う有害事象の発生頻度については、経腸栄養剤群でポリエチレングリコール製剤群に比べ、吐き気と腹痛が明らかに軽度だった(p<0.05)。

 柳生氏は、「栄養状態がさほど良好ではない被験者が多かったことも影響していると思うが、経腸栄養剤のみによる前処置で腸管内が観察しにくくなるケースはほとんどなかった。高齢者では、大腸内視鏡検査の重要な目的は大きな病変を見逃さないということ。その点からみると、特にコンプライアンスの悪い被験者に試みる価値は十分ある」と強調した。