乳癌、大腸癌の治療薬であるカペシタビンでは、特有の「手足症候群」という副作用が問題となる。よくみられるのは手、足、爪などの末端部で、紅斑や色素沈着が生じる。痛みを伴って腫れたり、物がつかみにくい、つまずきやすいなど、日常生活に影響を及ぼすこともある。

 東京歯科大学市川総合病院外科の青木成史氏は、乳癌患者において手足症候群の予防に有効だったとの報告があるビタミンのB6内服やハンドクリームの使用について、大腸癌患者への有効性を検討し、その結果を11月6日から7日に福岡市で開催された第64回日本大腸肛門病学会学術集会で発表した。

 対象は、2008年6月から2009年4月までに術後補助化学療法としてカペシタビンを投与した大腸癌治癒切除患者8人(うち男性3人、平均年齢63歳)。カペシタビンは、2週間投与1週間休薬を1コースとした。ビタミンB6は1日2回30mgを連日投与、ハンドクリーム(ジメチルイソプロピルアズレン軟膏、商品名:アズノール軟膏)は毎日適宜使用することとし、1コースが終了するごとに臨床症状の観察と血液検査を実施した。投与コースの中央値は8コース、ハンドクリームの平均使用回数は1日2回だった。

 手足症候群の発生は、日常生活に支障のないグレード1が1人、日常生活が制限されるグレード2が1人、グレード3はいなかった。グレード2の患者はハンドクリームを使用しておらず、使用するよう指導したところ、症状はグレード1へと軽快し、カペシタビンを8コース施行できた。手足症候群の発生時期はいずれも開始から2コース以内だった。そのほか、手先への軽度の色素沈着が3人、口唇炎が1人に生じた。

 青木氏は、「少数例での検討だが、ビタミンB6の内服とハンドクリームの使用は、大腸癌患者においても手足症候群の予防に有用である可能性が示された。ハンドクリームは皮膚科の医師と相談して選択したものだが、他のクリームでも代替できるのかもしれない」と結んだ。

 会場からは「手がべたべたすると気にする患者がいるので、もっとさらっとした手触りのクリームで試してみてもよいのではないか」との意見が出された。これに対し、さらに「手足症候群は日常生活で指先などに刺激を加えることで悪化する。大げさに言えば、うまく物がつかめないくらいべたべたしている方が、予防には適しているのではないか」との反論もあり、青木氏は今後も検討を続けたいとした。