大腸癌の腹腔鏡下手術では、専用器具を腹腔内に挿入するための穴をお腹に開けるほか、切り取った病変を体外に取り出すために4〜5cmの切開を行うのが一般的だ。この小切開を行わずに肛門から病変を取り出すという試みについて、11月6日から7日に福岡市で開催された第64回日本大腸肛門病学会学術集会で、順天堂大学浦安病院外科の福永正氣氏が報告した。

 適応は、S状結腸から下部直腸に存在する比較的早期の癌。より肛門に近いため、経肛門吻合となる症例は除外した。まず、通常の腹腔鏡下手術同様に、腹腔内でリンパ節郭清や血管処理などを行う。その後は、病変を完全に切除して体外に取り出してから腸管をつなぎ合わせる方法、もしくは病変部位を含む腸管を体外に引き出してから病変を切除し、腸管をつなぎ合わせる方法により、小切開を加えずに手術終了とする。

 福永氏は、病変の切除を先に行う方法を7人、腸管を体外に引き出してから切除する方法を3人に行ったと報告。腫瘍の大きさは12〜60mmで、いずれも根治切除できた。術中の偶発症や術後の合併症はいずれもなかった。

 福永氏は、「従来の腹腔鏡下手術よりも30分弱時間がかかる程度で行える。腹部にさらに切開を加えることは、術後に創感染を引き起こす危険性を高めるので、なるべく避けた方がよい。大きな病変は肛門から取り出すのが難しいため、適応症例は限定されるが、より患者負担が少ない新たな術式になり得るのではないか」と期待を込めた。