デジタルマンモグラフィは、従来のアナログタイプのマンモグラフィに比べて石灰化が見えやすいなど、早期乳癌の診断に有用なことから急速に普及が進んでいる。しかし多くの検診機関では、デジタルマンモグラフィを用いた検診にかかる費用の方が検診で得られる金額よりも高く、逆さやになっていることが、日本乳癌画像研究会デジタル分科会などの調査で明らかになった。11月5日から6日に札幌市で開催された第19回日本乳癌検診学会総会における、独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター臨床研究センター高度診断研究部の遠藤登喜子氏の発表。

 調査は日本乳癌画像研究会デジタル分科会と日本画像医療システム工業会(JIRA)経済部会が行った。乳癌関連6学会で構成されるマンモグラフィ精度管理中央委員会が、デジタルマンモグラフィ実施施設として認定した838施設に、装置の種類と使用頻度、精度管理状況についてアンケート調査を行った。さらにデジタルマンモグラフィ検診に必要な各種装置と解析に必要なワークステーションなどの価格を調査し、デジタルマンモグラフィ検診に望ましい報酬を算出した。

 アンケート調査では、2008年11月に実施したデジタルマンモグラフィについて聞いた。回答数は488施設(回答率58%)。このうち診療についてのみ回答したのが231施設、検診と診療について回答したのが226施設、不明が31施設だった。

 デジタルマンモグラフィはCR(Computed Radiology)とFPD(Flat Panel Detector System)の二つに分類される。CRは価格が安いが、FPDのほうが手間はかからないため、最近は、FPDが普及しつつある。

 検診および診療を行っているという226施設において、11月の1カ月間の撮影件数の平均は165.3件で、稼働日は平均18.9日、1稼動日当たり平均は10.7件となった。撮影(2方向)に要する時間はCR(212施設)で平均11.22分、FPD(17施設)で平均9.52分だった。読影にかかった時間は平均3.29分だった。

 遠藤氏はこれらのデータを基に人件費や装置の固定費、メンテナンス費用などの変動費、制度管理費などの一般管理費を試算し、CRの場合とFPDの場合について費用を見積もった。その結果、月に20日稼動と仮定して、CRを使用した場合、1日に10件みる施設の1件当たりの費用は7631円、同20件で5142円、同30件で4319円だった。また、FPDを使用した場合、同様に月に20日稼動と仮定して1日に10件みる施設の1件当たりの費用は9321円、同20件で5919円、同30件で4785円となった

 一方、愛知県がん検診研究会の関与する検診機関16施設の平均で、デジタルマンモグラフィ費用として充てられているのは1件当たり3232円だった。遠藤氏によると、多くの施設では、他の検査費でデジタルマンモグラフィにかかる費用を賄っていると考えられるという。