エーザイは10月30日、同社が開発中の抗癌剤E7389(一般名:eribulin mesylate)について、局所進行性・転移性乳癌を対象としたフェーズ3試験で主要評価項目を達成したと発表した。同社は今回得られた試験データなどに基づき、局所進行性・転移性乳癌の適応で、eribulinの承認申請を日本・米国・欧州で今年度中に行う予定だ。

 eribulinはクロイソカイメンから単離された天然由来化合物ハリコンドリンBの合成類似化合物。タキサン系抗癌剤は微小管を安定化することで細胞分裂を阻害するのに対し、eribulinは脱重合を抑制せずに微小管の伸長を阻害することによって細胞周期を停止させる、微小管ダイナミクス阻害剤と呼ばれる。

 主要評価項目を達成したと発表した臨床試験は、欧米において実施されたEMBRACE(Eisai Metastatic Breast Cancer Study Assessing Physician’ Choice Versus E7389)と名付けられたもの。アントラサイクリン系やタキサン系の抗癌剤を含む2種類から5種類の癌化学療法による前治療歴のある、局所再発性・転移性乳癌の患者762人を対象とした、多施設、無作為化、非盲検、並行2群間比較試験だった。

 この試験では、患者を「eribulin投与群」と治験医師が任意に治療法を選択する「治験医師選択療法群」の2群に分け、eribulin投与群では21日を1クールとし、各クールの1日目と8日目に、eribulinを静注した。治験医師選択療法群には、癌治療の適応を持つ単剤化学療法、ホルモン療法、生物学的薬剤療法、もしくは緩和療法、放射線療法などが行われた。

 試験の結果、eribulin投与群では、治験医師選択療法群に比べ、主要評価項目である全生存期間(OS)が統計学的に有意に延長した。一方安全性は、過去に実施したフェーズ2試験で報告されたものと同様の結果で、最も多く見られた有害事象は骨髄抑制だった。

 同社は、eribulinの非小細胞肺癌、ホルモン抵抗性前立腺癌、肉腫を対象とした開発を進めている。また同社は同日、癌関連疾患領域の製品戦略をより一層推進することを目的に、ヘルスケア・アウトソーシング世界最大手の米Quintiles社と、戦略的な提携を締結したことを発表した。eribulinはこの提携に基づく共同開発における対象化合物の一つとして取り組むこととされており、非小細胞肺癌および膀胱癌に対する開発プロジェクトを進めていく予定だという。なお、今回の提携の対象となっているのは、eribulin、E7080、ONTAK、E7820、E6201、E7050の6製剤。