癌細胞に存在し、発癌に関与する上皮成長因子受容体たんぱくのEGFRとHER2を標的とする治療薬は既に大腸癌や乳癌、肺癌、頭頸部腫瘍などの患者に用いられている。独Freiburg大学病院の研究者たちが、胆道癌とこれらの成長因子の関係を調べたところ、この癌の患者の6割にEGFR遺伝子の過剰発現が見られること、一方でHER2遺伝子の過剰発現は4割の患者に留まることが明らかになった。詳細はWorld Journal of Gastroenterology2009年9月28日号(2009,15,36,4511-4517)に報告された。

 これまで、進行した胆道癌にEGFR遺伝子またはHER2遺伝子の過剰発現が見られるかどうかは明らかではなかった。著者らは、胆道癌の治療標的としてどちらが有望かを明らかにするために、1997年から2004年に進行した胆道癌と診断された124人(年齢の中央値は64.8歳、51%が女性)の患者に由来する生検標本を分析した。

 まず、パラフィン包埋組織に対して免疫組織化学染色を行った。HER2遺伝子については、発現が2+または3+と判定された腫瘍にFIISH法を適用してHER2遺伝子の増幅の有無も調べた。

 対象となった124人中34人(27.4%)が胆嚢癌、47人(37.9%)が肝臓内の胆管に発生した癌で、43人(34.7%)は肝臓外の胆管に発生した胆道癌の患者だった。

 EGFR遺伝子の発現は56標本からなるサブセットを対象に分析した。22検体(39.3%)にはEGFRの発現は見られず、残りの標本のうち12検体(21.5%)が1+、13検体(23.2%)は2+、9検体(16%)が3+と判定された。

 HER2遺伝子の発現は124人中73人(58.8%)が0で陰性、27人(21.8%)が1+、21人(17%)が2+、4人(3.2%)が3+だった。HER2遺伝子の増幅は6人(5%)にのみ認められた。

 これらの結果は、HER2遺伝子の増幅はまれで、HER2遺伝子に比べEGFR遺伝子の過剰発現が頻繁に見られることを示唆した。遺伝子の発現と、癌の病期、組織型、化学療法に対する反応性、全生存期間などとの関係は、いずれも統計学的に有意な関係を示さなかった。

 著者らはどちらかといえばHER2よりもEGFRの方が治療の標的として有望だろうと述べている。