カナダAngiochem社が開発中の新たなタキサン誘導体「ANG1005」を脳腫瘍の患者に投与した2件のフェーズ1/2試験で、この薬剤の有効性と安全性が示唆された。詳細はシカゴで開催された米神経科学会議年次総会で10月18日に報告された。

 同社は、LDL受容体関連たんぱく(LRP)経路を標的として薬剤の血液脳関門通過を容易にするEPiC技術を保有する。LRPは血液脳関門の表面に顕著に発現する受容体の一つだ。神経膠腫など様々な腫瘍の表面でも発現レベルの上昇が見られる。EPiC技術は、様々な薬剤に適用可能なため、同社はこれを利用して複数の脳の病気に対する治療薬を開発している。

 その一つであるANG1005を用いたフェーズ1/2試験2件は、100人を超える脳腫瘍患者を対象に行われた。

 既に終了した、原発腫瘍が脳に転移した患者にANG1005を投与したフェーズ1/2では、治療効果が期待できる用量の投与を受けた患者21人中15人(71%)が治療に反応(腫瘍縮小または安定状態)、うち11人の患者が腫瘍縮小を経験したという。

 また、この試験に登録されていた、他のタキサン系抗癌剤に反応しない患者9人中7人(78%)にも腫瘍縮小が見られた。さらには、脳以外に存在する腫瘍(肝臓、肺、リンパ節、骨)にも反応が見られた。

 患者から摘出された脳腫瘍のANG1005濃度を調べた結果、この薬剤が血液脳関門を通過し、腫瘍に集積していること、その濃度は抗腫瘍効果が期待できるレベルであることが明らかになった。

 ANG1005を複数回投与しても、神経認知機能を指標とする中枢神経系毒性は認められず、免疫の誘導もなかった。有害事象は、他のタキサン系抗癌剤に比べ少なかった。

 また、再発性膠芽細胞腫などを含む神経膠腫の患者を対象に現在進行中のフェーズ1/2試験でも、約65%の患者に病態安定または腫瘍縮小が見られている。一部の患者では、腫瘍縮小とともに神経学的な障害が軽減したという。

 これらの試験結果は、ANG1005の大きな可能性を示したことになる。