ErbB受容体ファミリーを幅広く阻害するネラチニブ(HKI-272)をパクリタキセルと併用することが、4期の乳癌患者に有効である可能性が、2段階に分けて行われた臨床試験で明らかになった。今回の結果を受け、ErbB2陽性で局所進行あるいは転移性乳癌に対するファーストライン治療として、ネラチニブとパクリタキセルの併用とトラスツズマブとパクリタキセルの併用を比較するフェーズ3試験が計画されているという。10月8日から10日に米国サンフランシスコで開催されている2009 Breast Cancer Symposiumで香港UNIMED Medical InstituteのL.Craw氏が発表した。

 ネラチニブは、受容体たんぱくのErbB1(EGFR)、ErbB2(HER2)、ERBb4(HER4)を不可逆的に阻害する経口剤。

 試験は、まずパート1として固形癌患者を対象に毒性を調べる目的で行われた。28日間を1サイクルとして、1日目、8日目、15日目にパクリタキセルを80mg/m2静脈内投与し、毎日ネラチニブを160mg投与する群(3人)、240mg投与する群(5人)に分けた。この試験でどちらの投与量でも用量制限毒性が見出されなかったことから、パート2の試験におけるネラチニブの投与量は240mgとなった。

 パート2はErbB2陽性の4期の乳癌患者を対象に行われた。対象患者は1日目、8日目、15日目にパクリタキセルを80mg/m2静脈内投与し、毎日ネラチニブを240mg投与した。現在までに102人の患者(年齢中央値50.5歳)で安全性の評価が可能で、97人で効果の判定が可能だった。その結果、16週時点でのRECIST基準による効果判定で奏効率は63%となった。

 患者は投薬に十分耐えることができ、最も多い副作用は下痢だった。見出された副作用のプロファイルはそれぞれの薬剤を単独で投与した場合に見られるものと類似していた。