スイスNovartis社の長時間作用型ソマトスタチン誘導体、オクトレオチドLAR(製品名:サンドスタチンLAR)デポ剤が、カルチノイド症状のない中腸の神経内分泌腫瘍(NET)にも利益をもたらすことが、PROMIDと名付けられたフェーズ3b試験で明らかになった。中間解析結果はJournal of Clinical Oncology誌10月1日号 (2009,28,4656-4663)に報告された。

 NETは、神経系と内分泌系の両方で役割を果たす細胞に由来する。腫瘍化した場合に、内分泌機能を維持しているケースと、この機能を失うケースがある。機能するNETは下痢、顔面紅潮、喘鳴などのカルチノイド症候群を引き起こすが、多くのNETは機能を失っているため、患者にカルチノイド症状は見られない。

 オクトレオチドLARは、米国では1998年から、カルチノイド症候群を呈する進行したNET患者の下痢や顔面紅潮などの治療に用いられてきた。

 NETが遠隔転移を始めると、選択可能な治療はほとんどなくなる。ドイツPhilipps大学などの研究者たちは、オクトレオチドLARがそうした患者の生存に利益をもたらすことを期待し、この薬剤の抗腫瘍効果を調べる無作為化試験、PROMIDを設計した。

 ドイツ国内の18施設で、カルチノイド症状のある患者とない患者の両方を登録した。対象となったのは、中腸を原発とする十分に分化したNETで、治療歴のない、切除不能または転移性の患者85人。どの患者についても、治癒が期待できる治療の選択肢は残っていなかった。オクトレオチドLAR(30mg)または偽薬に割り付け、進行が認められるまで、または死亡するまで追跡した。

 主要エンドポイントを無増悪生存期間、2次エンドポイントを生存期間と腫瘍反応に設定した。

 この論文は中間解析の結果を報告している。分析時点で、85人中16人が死亡、67人に進行が見られた。

 無増悪生存期間の中央値は、オクトレオチド群14.3カ月、偽薬群は6カ月で、ハザード比は0.34(95%信頼区間:0.20-0.59、p=0.000072)。 

 6カ月の治療により安定状態となった患者の割合は、オクトレオチド群66.7%、偽薬群は37.2%だった。

 全死亡は、オクトレオチド群7人、偽薬群9人。人数が少ないため全生存期間に関する明確な分析結果は得られなかった。

 カルチノイド症状のない患者群と症状がある患者群の反応率に差はなかった。

 カルチノイド症状のない患者群の無増悪生存期間の中央値は、オクトレオチド群が28.8カ月、偽薬群は5.9カ月(ハザード比0.25、95%信頼区間:0.10-0.59)。カルチノイド症状がある患者の無増悪生存期間の中央値は、オクトレオチド群が14.3カ月、偽薬群は5.5カ月だった(ハザード比0.23、95%信頼区間:0.09-0.57)。

 得られた結果は、オクトレオチドは腫瘍の増殖を制御すること、症状のないNET患者にも利益をもたらすことを示した。

 今年初め、米National Comprehensive Cancer Network(米国総合癌センターネットワーク)は、学会発表されたPROMIDの予備的な結果に基づいて臨床管理ガイドラインを更新し、カルチノイド症状の有無に関わらず、転移性で切除不能の中腸NET患者の全てに対する治療の選択肢にオクトレオチドを追加している。