ハンガリーNational Institute of OncologyのI.Lang氏

 抗上皮成長因子受容体(EGFR)抗体製剤のセツキシマブを転移性大腸癌に投与する臨床試験で、KRAS遺伝子野生型の患者で全生存期間の延長が初めて確認された。EGFRを発現している転移性大腸がん患者を対象に、ファーストラインとして、セツキシマブとFOLFIRIレジメンの併用群(併用群)とFOLFIRIレジメンのみの群(FOLFIRI群)を比較した大規模フェーズ3試験「CRYSTAL試験」のアップデート解析の結果、明らかとなったもの。成果は9月20日から24日にドイツ・ベルリンで開催された第15回欧州癌学会(ECCO)・第34回臨床腫瘍学会(ESMO)でハンガリーNational Institute of OncologyのI.Lang氏によって発表された。

 このCRYSTAL試験は、2004年7月から2005年11月まで184施設で行われたフェーズ3試験。今回の解析で、KRAS野生型の患者では全生存期間(OS)の中央値が併用群(316人)で23.5カ月、FOLFIRI群(350人)では20.0カ月となり、ハザード比0.796(95%信頼区間:0.670-0.946)、p=0.0094で統計学的に有意な延長が確認された。KRAS遺伝子変異のある患者に対しては、併用群(214人)で16.2カ月、FOLFIRI群(183人)では16.7カ月となり、ハザード比1.035(95%信頼区間:0.834-1.284)、p=0.7551で差はなかった。

 KRAS遺伝子野生型の患者で、無増悪生存期間(PFS)の中央値が併用群で9.9カ月になったのに対して、FOLFIRI群では8.4カ月となり、ハザード比0.696(95%信頼区間:0.558-0.867)、p=0.0012で統計学的に有意な延長が確認された。KRAS遺伝子変異のある患者に対しては、併用群で7.4カ月、FOLFIRI群では7.7カ月となり、ハザード比1.171(95%信頼区間:0.887-1.544)、p=0.2661で差はなかった。同様に奏効率でもKRAS遺伝子野生型で併用群の方が効果が高かった。

 また、Lang氏らはCRYSTAL試験におけるQOLの変化を、がん領域で広く使用されているQOL尺度であるEORTC QLQ-C30で8週置きに評価したが、併用群、FOLFIRI群で差がなかった。