医療法人北九州病院北九州総合病院外科の永田直幹氏

 進行胃癌で遠隔転移のない患者に対する術前化学療法として、パクリタキセル(PTX)とシスプラチン(CDDP)の投与は有望で忍容性も良好であることがフェーズ2試験の結果から明らかになった。この成果は、9月20日から24日にドイツ・ベルリンで開催された第15回欧州癌学会(ECCO)・第34回臨床腫瘍学会(ESMO)で、医療法人北九州病院北九州総合病院外科の永田直幹氏が発表した。

 永田氏らは、術前補助化学療法を行わなければ完全切除が難しい、または治癒的切除を行っても予後が不良と考えられる進行胃癌に対し、PTX+CDDPによる術前化学療法を行い、有効性と安全性を評価した。

 今回の試験では術前のステージを腹腔鏡で確認している。対象としたのは組織学的に確認される測定可能な胃癌がある患者。組み入れ基準には、ステージII以上で、腹腔細胞診陽性例または胃に隣接する切除可能な腹腔転移がある例を除いて遠隔転移がないことなども含まれた。

 52人(男性32人、女性20人、年齢中央値65歳)が試験に参加し、胃癌の組織学的な内訳は、病理所見による胃壁深達度T2、T3、T4がそれぞれ1人、42人、9人、同リンパ節転移N0、N1、N2、N3がそれぞれ4人、20人、20人、8人、腹腔細胞診CY0、CY1がそれぞれ42人と10人、ステージII、IIIA、IIIB、IVはそれぞれ1人、15人、15人、21人だった。

 術前化学療法としてPTX80mg/m2+CDDP25mg/m2を1、8、15日目に投与し、奏効と切除の可能性の程度により4週毎に2〜4コースまで施行した。

 その後、胃切除術とD2リンパ節郭清を行った。行われた胃切除術は、胃全摘術が36人(69.2%)、幽門側胃切除術が7人(13.5%)、切除不能が9人(17.3%)だった。手術が可能だった43人中、治癒切除ができたのは33人(63.5%)、プロトコールの治療を完了したのは31人(59.6%)だった。

 主要評価項目である病理学的奏効率(pRR)は腫瘍断面の1/3を超えて変性を認める場合と定義し、18人(34.6%、95%信頼区間:22.0〜49.1)にこの所見を認めた。

 52人の術前化学療法の奏効率は、完全奏効(CR)1人(1.92%)、部分奏効22人(42.31%)で、奏効率は44.2%(95%信頼区間:30.5〜58.7)だった。

 グレード3以上の有害事象として、好中球減少や白血球減少などの血液毒性が36.5%、下痢や感染などの非血液毒性が9.7%に出現した。

 死亡は52人中7人で、3年生存率のデータは現在集積中である。

 永田氏は「今回の試験では病理学的所見で奏効を評価しているため、信頼度は高いと考えられる」と話した。