フランスService Inter Hospitalier de Cancerologie Bichat-BeaujonのEric Raymond氏

 進行性または転移性の膵神経内分泌腫瘍(膵NET)に対するスニチニブの安全性は高く、かつ無増悪生存期間(PFS)を延長することが、国際的フェーズ3試験「A6181111」で分かった。有効性が明確に示されたため、試験は早期中止となった。成果は9月20日から24日にドイツ・ベルリンで開催された第15回欧州癌学会(ECCO)・第34回臨床腫瘍学会(ESMO)で、フランスService Inter Hospitalier de Cancerologie Bichat-BeaujonのEric Raymond氏が発表した。

 神経内分泌腫瘍(NET)の年間発生率は10万人に2〜4人と推定され、予後は分化度に大きく影響される。これまで切除不能のNETの治療選択肢は極めて限られていた。

 そのうちの一つである膵NETは、血管系を発達させ、複数の血管新生のたんぱくを発現する。そこで、腫瘍の血管新生を阻害するマルチターゲット型チロシンキナーゼ阻害剤のスニチニブ(商品名:スーテント)の膵NETに対する効果が注目され、フェーズ2試験まで実施されていた。

Raymond氏らは膵NETに対するスニチニブの国際的なフェーズ3試験を実施し、その結果を報告した。対象は高分化腺癌の膵NETで、過去12カ月間に病状が進行した患者154人。患者を無作為化した後、スニチニブ37.5mg/日を経口投与する群(75人)と、プラセボを投与する群(79人)に割り付けた。支持療法(BSC)やソマトスタチンアナログの投与は続行可とした。両群の患者背景は同様で、男女比はほぼ同等、両群ともに白人が半数以上を占めた。

 主要評価項目であるPFSは、スニチニブ群11.1カ月、プラセボ群5.5カ月、ハザード比0.397(p<0.001)で、スニチニブの有効性が明確に示される結果となった。疾患の進行はスニチニブ群32%、プラセボ群62%にみられ、進行を伴わない死亡はそれぞれ5%と8%であった。
 
 安全性評価の対象となったスニチニブ群57人において、15%を超える割合で発現した有害事象は、下痢63.2%、嘔気52.6%、嘔吐38.6%、疲労感35.1%など。グレード3以上の有害事象は好中球減少12.3%、高血圧8.8%、腹痛および下痢が各7.0%だった。緊急に治療を必要としたグレード5の有害事象は3人にみられ、内訳は全身状態の悪化、腹水およびその進行、心不全。
 
 今回の試験の結果から、進行性および転移性の膵NETに対するスニチニブの投与は管理可能な安全性を有し、PFSを改善することが証明された。

 本試験は主要評価項目を満たし有効性が明確に示されたため、データモニタリング委員会(DMC)の勧告に基づき、早期の中止が決定された。終了後も本試験に参加した患者はスニチニブの投与を受けられる。現在、本試験の最終的なデータ解析が行われているという。