進行胃癌を対象に5-FU/l-ロイコボリンS-1のファーストライン治療を比較した無作為化フェーズ3試験で、S-1に対する5-FU/l-ロイコボリンの非劣性が示された。愛知県がんセンター消化器内科部の沢木明氏らが、9月20日から24日までドイツ・ベルリンで開催されている第15回欧州癌学会(ECCO)・第34回欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で発表した。

 試験では、切除不能もしくは再発性胃癌の患者を対象に、S-1に対する5-FU/l-ロイコボリン(RPMIレジメン)の非劣性を検証した。5-FU/l-ロイコボリン群には、5-FU600mg/m2の急速静注とl-ロイコボリン250mg/m2の2時間静注を週に1回6週間行い、2週休薬した。S-1群にはS-1を40から60mg経口で1日2回、4週投与し、2週休薬した。

 2002年5月から2006年8月までに、60施設191人が登録された。このうち評価できた5-FU/l-ロイコボリン群89人と S-1群88人を比較したところ、主要評価項目である生存期間の中央値は、5-FU/l-ロイコボリン群が10.3カ月(95%信頼区間:8.1-12.9)、S-1群が8.3カ月(同:6.9 -10.4)。S-1に対する5-FU/l-ロイコボリンのハザード比は0.84(同:0.60-1.18)だった。

 副次評価項目である無増悪生存期間の中央値は、5-FU/l-ロイコボリン群が4カ月(同:3.2-8.5)、S-1群が3.5カ月(同:2.8-5.1)、ハザード比は0.76(同:0.55-1.06)。奏効率は、それぞれ23.6%、29.5%と同等であった(p=0.2082)。

 主な副作用は白血球減少が5-FU/l-ロイコボリン群で70.0%、S-1群で43.5%、食欲不振がそれぞれ64.4%、50.0%、好中球減少が62.2%、38.0%、下痢が54.4%、30.4%、体重減少が43.3%、23.9%だったが、2群間で有意な違いはなかった。

 また癌薬物治療のQOL調査票であるQOL-ACDを用いた評価では、QOLに関しても2群間で有意な違いは見られなかった。

 以上の結果から、「5-FU/l-ロイコボリンは進行胃癌のファーストライン治療として、生存期間および無増悪生存期間において、S-1に対する非劣性を示した」と結論づけられた。経口投与ができない場合や、癌性腹膜炎、イレウスなどの重篤な合併症がある場合など、S-1投与が困難なケースには、5-FUロイコボリンが治療の選択肢になりうることが示唆されたと言える。