近畿大学泌尿器科の野澤昌弘氏

 日本人の転移性腎細胞癌患者に対するマルチキナーゼ阻害剤スニチニブの投与は、標準と定められた1日50mgを4週間投与し、2週間休薬する方法では、重度の血小板減少や好中球減少が高頻度に起こるため、投与を継続していくためには用量の調節が大切であることが明らかとなった。27人の患者にファーストラインとしてスニチニブを投与した結果から判明したもの。別のグループが発表した日本人と中国人を除いたアジア人のデータと比較すると、日本人では血小板減少症、好中球減少症が多いことが分かった。成果は9月20日からドイツ・ベルリンで開催されている第15回欧州癌学会(ECCO)・第34回欧州臨床腫瘍学会ESMO)で近畿大学泌尿器科野澤昌弘氏(写真)によって発表された。

 27人の患者にスニチニブを1日50mgを4週間投与し、2週間休薬する方法で投薬したところ、全グレードで頻度が多かった副作用は好中球減少症(81.5%)、血小板減少症(70.4%)、高血圧(59.3%)、倦怠感(59.3%)、貧血(55.6%)、下痢(51.9%)だった。高血圧、甲状腺機能低下症(48.1%)、手足症候群(48.1%)、皮疹(40.7%)の発現頻度は欧米でのフェーズ3試験で報告された頻度よりも高かった。グレード3/4の血小板減少症(44.4%)、好中球減少症(33.3%)も明らかに頻度高く起きた。66.7%に当たる18人の患者が、副作用のために最初の4週間投与を完了することができなかった。このうち77.8%にあたる14人の患者では血小板減少症、好中球減少症が起きていた。

 野澤氏は「50mgでも効果が期待できる人がいるので、必ずしも低量から始めれば良いというものではない。日本人で血小板減少、好中球減少が多いのは、日本人で高頻度に副作用を発現させる一塩基多型(SNP)を持った遺伝子があるのではないか」などと語った。