乳癌治療薬であるラパチニブを、手術不能の肝細胞癌患者に投与するフェーズ2試験において、投与で皮疹が見られた患者で特に、無増悪生存期間と全生存期間が延長する傾向にあることが明らかになった。この結果は9月8日付けのClinical Cancer Research電子版に発表された。

 ラパチニブはEGFRとHER2の2種類の受容体型チロシンキナーゼをターゲットとする経口の分子標的薬。日本ではグラクソ・スミスクラインが6月19日、HER2過剰発現が確認された手術不能または再発乳癌を適応として、ラパチニブ(商品名:タイケルブ)の発売を開始している。

 フェーズ2試験は進行性肝細胞癌患者26人(うち男性が18人)を対象に、ラパチニブ1500mg/日を28日間投与した。前治療として化学塞栓療法や化学療法などを受けていた患者は19%、肝障害度を示すChild-Pugh分類がB(Child-Pughスコアが7点)の患者が27%であった。

 その結果、評価できた25人において奏効性は認められなかったが、安定状態が10人(40%)で、このうち6人(23%)は安定状態が120日以上持続していた。無増悪生存期間(PFS)の中央値は1.9カ月(95%信頼区間:1.8-3.6)、全生存期間(OS)の中央値は12.6カ月(同:7.8-22.4)だった。主な副作用は、26人のうち下痢が73%、悪心が54%、皮疹が42%。

 皮疹はEGFRやHER2の阻害剤に特有の副作用だが、皮疹が見られなかった患者のPFSの中央値が1.8カ月であるのに対し、皮疹が見られた患者では2.4カ月(p=0.25)、OSはそれぞれ8.7カ月、16.2カ月(p=0.07)と、皮疹が見られた患者で延長する傾向が示された。

 ただし対象患者から採取した検体からEGFRやHER2の変異はみられず、さらにシグナル伝達に関与するPTENやP-AKT、P70S6Kといったマーカーの発現と生存期間に関連性はなかった。

 Clinical Cancer Researchの編集委員で米California大学のSamuel B. Ho氏は、「この試験結果は、肝細胞癌が臨床的にも生化学的にも不均一(heterogenous)であることを示している。特定のサブグループを対象とした試験を行えば、明確な生存期間の延長が得られるかもしれない」と述べた。また効果を予測するマーカーについて、「一つのマーカーではなく、複数のマーカーを調べるほうが生物学的に理にかなっている」とも述べている。