直腸癌などの術後の後遺症として、便失禁がみられることは少なくない。だが、命にかかわることがまれなために、対策は後手に回りがちだ。社会保険中央総合病院大腸肛門病センターの山名哲郎氏は、磁気刺激によって骨盤底筋を連続して筋収縮させるトレーニングマシンが、便失禁の改善に有用であるとする研究成果を、9月5日に東京で開催された第15回大腸肛門機能障害研究会で発表した。

 山名氏らが用いたトレーニングマシンは、健康器具の「PBトレーナー」(輸入・販売元:フォルツァテクノス)。外来を受診した患者が着衣のまま専用の椅子に座るだけで、骨盤底筋のトレーニングができる。尿失禁への効果については既に多数報告されているが、便失禁に対する有用性については、これまでに報告がみられなかったという。

 便失禁を訴える女性9人(平均年齢59歳)を対象に、PBトレーナーを週1回20分間、計8回使用してもらった。その結果、便失禁スコアはトレーニング前の平均9.3からトレーニング後には平均5.8へと明らかに改善した。失禁の自覚症状については、5人が改善した、3人が変わらない、1人が悪化したと答えた。患者への有害な影響はなかった。

 山名氏は「筋肉への刺激が強いため出力調整が必要なケースもあるが、気軽に取り組めるので患者に受け入れられやすい方法と考えている。対象患者を増やすなどして、今後も便失禁に対する治療選択肢の一つとして、検討を続けていきたい」と述べた。