化学療法を受けている乳癌患者には睡眠・覚醒リズムの変化が見られることを、米California大学San Diego校(UCSD)のSania Ancoli-Isral氏らが明らかにした。詳細は、Sleep誌2009年9月1日号に掲載された。

 癌患者の30〜50%の患者が不眠を訴えるとされる。化学療法が概日リズム(約24時間周期のリズム)を乱し、不眠と疲労感の症状を悪化させる可能性については、これまでにも示されていた。

 対象は、術前または術後にアントラサイクリン系の薬剤を用いた化学療法を受けることになっていたステージ1〜3の乳癌患者95人。平均年齢は50.72歳、75%が白人だった。睡眠・覚醒を判定、記録する腕時計型の計測器「アクティグラフ」の装着(1回につき72時間連続して装着)を依頼し、化学療法開始前と、初回の治療サイクル(サイクル1)と4回目のサイクル(サイクル4)の第1週、2週、3週の記録を得た。加えて患者に、就寝時刻、起床時刻、昼寝の記録を求めた。

 アクティグラフのデータに基づいて概日リズムに変化があるかどうか調べた。サイクル1の第1週とサイクル4の第 1週の両方で、概日リズムに関する複数の指標(活動レベルの高さ、活動レベルの平均値、活動レベルが低い状態から高い状態に変化する時刻、高い状態から低い状態に変化する時刻など)に有意な変化が見られた。変化がなかったのは、頂点位相(活動が最高になる時刻)だった。

 例えば、サイクル1の第1週には、朝の活動性の上昇は化学療法開始前(ベースライン)に比べ約30分遅くなっており、夜の活動性の低下は約50分早まっていた。また、サイクル4の第1週には、朝の活動性の上昇は約37分遅く、夜の活動性の低下は約34分早かった。

 リズムは、サイクル1の第2週と第3週にはベースラインのレベルに戻ったが、サイクル4の第2週と第3週には変化がより明瞭に残存していた。従って、治療が続くと、概日リズムの乱れは、より長く持続するようになると考えられた。

 なぜ化学療法が概日リズムを乱すのかについてはさらに研究を進める必要があるが、著者らは、病気や治療に対する不安やそれらに起因するうつ状態といった心理的な要因、昼寝が増えるといった行動面の要因、エストロゲン濃度の低下や炎症など身体的な変化の関与を想定している。