エストロゲン受容体陽性(ER陽性)の乳癌にタモキシフェンによる術後補助ホルモン療法を行うと、対側におけるER陽性の二次乳癌の発症リスクは低下するが、5年以上のタモキシフェン投与はER陰性の二次乳癌の発症リスクを4.4倍に高めるとする研究結果が出た。米Fred Hutchinson癌研究センターのChristopher Li氏らによるもので、詳細は8月25日付けのCancer Research誌電子版に報告された。

 一般女性に比べ、乳癌経験者の乳癌リスクは高い。原発癌がER陽性だった女性には術後補助ホルモン療法が広く行われるが、これにより乳癌死亡リスクは有意に低下することが知られている。しかし今回の研究結果は、この治療が新たなリスクをもたらす可能性を持つことを示している。

 Li氏らは、40〜79歳の女性でER陽性の乳癌と診断され、治療を終えた乳癌経験者の中から、対側の乳房に二次乳癌が見つかった367人を選出。うち303人がER陽性の二次乳癌、52人がER陰性の二次乳癌と判定した。対照として、それらの患者と特性が一致する乳癌経験者で、二次乳癌がみられない728人を選出した。

 術後補助ホルモン療法歴、その他の治療歴、乳癌危険因子に関する情報は、診療記録や電話インタビューで取得し、ロジスティック回帰分析によって、ER陽性または陰性の二次乳癌とホルモン療法歴の関係を調べた。

 術後補助ホルモン療法を受けていない群に比べ、タモキシフェンを5年以上使用していた群では、対側におけるER陽性の二次乳癌の発症リスクが60%低かった(オッズ比:0.4、95%信頼区間:0.3-0.7)。ところがER陰性の二次乳癌の発症リスクは4.4倍だった(オッズ比:4.4、95%信頼区間:1.03-19.0)。タモキシフェンの使用が5年未満の場合には、同リスクの上昇は見られなかった。

 ER陰性の乳癌はER陽性の乳癌よりも予後が悪い。著者らは、ER陰性の二次乳癌を発症する女性は少ないが、治療のベネフィットとリスクを十分に考慮して、タモキシフェンの投与期間を決める必要があると述べている。