非小細胞肺がんの予後には胸膜浸潤(VPI)の有無が影響し、VPIを考慮することによって、より適切な病期分類が行えるようだ。日本の「肺癌登録合同委員会」が集計したデータの分析で明らかになった。国立がんセンター東病院呼吸器外科の吉田純司氏らが、Journal of Thoracic Oncology誌(2009,4,959-963)に発表した。研究グループは、腫瘍径7cm以下でVPIがある場合はTNM病期分類においてT因子のレベルを一つ上げるべきと提案している。

 TNM病期分類は、原発腫瘍の大きさ(T)とリンパ節転移(N)、遠隔転(M)の組み合わせで病期を分けている。TNM病期分類は現在、第7版に向けた改訂作業が進行中だ。世界肺がん学会(IASLC)は、日本を含め世界各国から集められた症例を基に改訂案を作成し、現在は妥当性の評価を行っている。今後、改訂案は国際対がん連合(UICC)と対がん米国合同委員会(AJCC)に提出され、承認されれば、第7版として来年から使用される予定だ。

 研究グループは、肺癌登録合同委員会に登録された症例で、1999年に手術を行った387施設1万3344症例のうち、非小細胞肺がん9758症例を対象に、腫瘍径(2cm以下、2.1〜3cm、3.1〜5cm、5.1〜7cm)とVPIの有無で8群(AからH群)に、さらにTNM病期分類(改訂案)におけるT3(I群)を加えた計9群に分けて、予後を比較した。

 その結果、5年生存率はA群(腫瘍径2cm以下、VPI無)の84.4%に対し、B群(同2cm以下、VPI有)は69.9%、C群(同2.1から3cm、VPI無)の77.1%に対し、D群(同2.1から3cm、VPI有)は62.5%などと、VPIがある群で低かった。

 残りの群については、E群(腫瘍径3.1から5cm、VPI無)は61.6%、F群(同3.1から5cm、VPI有)は53.0%で、G群(同5.1から7cm、VPI無)は50.7%、H群(同5.1から7cm、VPI有)は45.2%、そしてI群は40.7%だった。D群とE群、F群とG群、G群とH群、H群とI群では有意差はなかった。

 これらの結果から、VPIがある場合、例えばD群はIASLC改訂案ではT2だが、研究グループはT2aに、F群はT2aからT2bに、H群はT2bからT3に変更すべきと提案している。