米Colonbia大学のJason Wright氏らは、50歳以下の上皮性卵巣癌女性に、卵巣の一つまたは子宮を残す生殖機能温存術を適用した場合の生存率を調べて、通常の全摘出術に比べ死亡リスクの有意な上昇は見られないことを明らかにした。詳細は、8月10日付けのCancer誌電子版に掲載された。

 多くの卵巣癌患者は高齢・高ステージで診断される一方、17%は40歳以下で、比較的早期に発見されるという報告がある。こうした若年患者に子宮と卵巣を全て摘出する通常の外科的治療を行えば、生殖能力が失われるだけではなく、長期にわたるエストロゲン欠乏症状をもたらすデメリットも大きい。

 そこで著者らは、若年患者を対象に子宮や卵巣の温存術で死亡リスクが上昇するかどうかを調べた。

 米国の人口の約26%をカバーする癌登録のデータを用いて、1998年から2004年に早期(ステージI)の上皮性卵巣癌と診断された50歳以下の女性で、両方の卵巣を摘出した患者と、一方を温存した患者の情報を比較した。また、子宮を温存した患者と摘出した患者についても比較を行った。

 1186人の卵巣癌患者のうち、片方の卵巣を残していたのは432人(36%)だった。両方とも切除した754人(64%)の患者と一方が温存された患者の生存率を5年以上にわたって比較したが、両群間に有意差は無かった(ハザード比:0.69、95%信頼区間:0.39-1.20)。

 卵巣温存術は、年齢が若い、より最近になって診断された、米国東部または西部在住の患者に有意に適用された(すべてp<0.05)。組織像が類内膜腺癌または明細胞癌の患者、ステージICの患者では温存術が適用される頻度が低かった(p<0.05)。

 子宮については、23%が子宮温存術を、残りは全摘を受けていた。両群間の生存率に差は無かった(ハザード比:0.87、95%信頼区間:0.62-1.22)。

 子宮温存術は、年齢が若い、より最近になって診断された、米国東部または西部在住、独身、粘液性腺癌、病期がステージIAの患者に有意に適用された(すべてp<0.05)。

 今回の研究で、少なくとも一方の卵巣または子宮を残す方法で、卵巣癌死のリスクを高めることなく生殖機能を温存できる可能性が示された。温存術は、生殖機能の保持以外のメリットももたらすことから、若い女性の卵巣癌患者の場合には温存術のメリットを十分に考慮したうえで治療法を選ぶべきだ、と著者らは述べている。