米ARIAD社は7月27日、BCR-ABL融合蛋白の活性を阻害するマルチターゲット型キナーゼ阻害剤(以下、BCR-ABL阻害剤)「AP24534」について、実施中のフェーズ1試験で得られた予備データを発表した。試験の対象は、進行性の血液癌患者。試験結果からは、BCR-ABL蛋白の変異体T3151(以下、T3151変異)がある症例を含む、前治療に抵抗性および難治性の慢性骨髄性白血病(CML)患者において、AP24534が血液学的、細胞遺伝学的、分子的に抗腫瘍活性を示したことについて初のエビデンスが得られた。本試験のデータは、今年後期に開催される主要な血液学会で発表される。

 CMLまたはフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病(Ph+ALL)に対するBCR-ABL阻害剤の投与は多くの患者に有効だが、変異体が出現することが多く、薬剤抵抗性の原因となる。T3151変異は、CMLおよびPh+ALLで薬剤抵抗性がある症例の約15〜20%を占める。第1世代のイマチニブ、第2世代のダサチニブおよびニロチニブはこのように変異した蛋白を阻害することはできないため、CMLおよびPh+ALLの全ての形に有効なわけではない。

 AP24534の臨床試験には、米国の五つの医療センターから32人(うち28人は抵抗性および難治性のCMLまたはPh+ALL)の患者が参加し、6段階の用量群に割り付けられた。全員が第1世代、第2世代の前治療を受け、さらに多くの患者が他の治験薬による治療を受けており、本試験に登録したCMLとPh+ALLの患者には、非常に限られた治療選択肢しか残されていなかった。AP24534の増量は用量制限毒性が認められるまで続行する予定だ。患者登録は2008年の第2四半期に開始され、50人に到達するまで継続する。

 これまでに以下のような重要な予備データが得られている。

・BCR-ABLに変異がある患者でAP24534の投与による血液学的、細胞遺伝学的、分子的な奏効が認められ、承認された全てのBCR-ABL阻害剤に抵抗性があるT3151変異がある患者でも、血液学的および細胞遺伝学的な奏効が認められた。

・高用量の4群に割り付けられたCML患者23人中、19人に疾患の進行を認めず、さらにT3151変異があるCML患者12人中でも9人に疾患の進行を認めていない。これは病勢コントロールのエビデンスとなる。

・高用量群に割り付けられた患者の多くでAP24534の投与期間は比較的短く、完全奏効の評価には時期尚早である。血球系列の顕著な改善はみられている。

・AP24534は用量制限毒性を伴わず、忍容性は良好である。最も頻度が高い薬剤関連性の有害事象は血小板減少と好中球減少である。

・血中濃度はBCR-ABL変異の完全な阻害に相関することが前臨床で予測され、薬物動態のデータから良好であることが示された。

 「本試験に参加したような状態の患者に現在提供できる治療選択肢は不足している。試験完了と最終結果の評価はこれからだが、本試験の結果は、来年開始されるAP24534の大規模な試験登録の基盤となると思う」と米ARIAD社clinical affairsのFrank G. Haluska氏は話した。