第3世代のビスフォスフォネート製剤ゾレドロン酸を投与することで、骨転移が明らかに改善しただけでなく、肺転移、肝転移も改善した腎癌の症例が報告された。7月23日から24日に旭川市で開催された日本がん転移学会で金沢大学大学院医学系研究科集学的治療学(泌尿器科)の三輪聰太郎氏が発表した。

 骨転移による骨関連事象の予防薬であるゾレドロン酸を、閉経前の早期乳癌患者の術後ホルモン療法に追加することで、ホルモン療法単独の場合と比較して、乳癌再発または乳癌による死亡のリスクを36%減少させたという結果が既に報告され、ゾレドロン酸には抗腫瘍効果がある可能性が示唆されていた。今回の症例はゾレドロン酸の抗腫瘍効果の可能性を改めて示したといえるだろう。

 報告された症例は30代の女性(cT2、N0、M0)で、2005年11月根治的右腎摘除術を受けたが、2006年3月に肺に転移が左右1カ所ずつ出現し、インターフェロンα、S-1を投与されたが奏効せず、2007年1月に肺転移に対して両側上葉切除を受けた。しかし、同年6月新たに左肺下葉に胸膜肥厚が出現したため、インターロイキン2を投与されたが改善せず、同年9月には胸膜転移が悪化、両側肺転移(1cm以下のものが少なくとも18カ所)、肝転移が1カ所出現した。

 同年12月に多発性骨転移による足首の疼痛が出現したため、ゾレドロン酸を4週間当たり4mg投与を開始したところ、2008年3月に疼痛が改善し、4月には足CTで溶骨性変化が改善した。同年6月には骨シンチ改善のみならず胸部CTで両側肺転移の改善が認められた。2009年2月には肝転移が縮小していた。

 ゾレドロン酸のメカニズムについて研究グループは、投与薬剤の50%が骨に分布され、残りの50%は速やかに尿中から排泄されることから、直接的な抗腫瘍活性というよりも、免疫活性(T細胞)に影響して抗腫瘍効果を発揮したのではないかと考えている。