食道扁平上皮癌において、ケモカイン受容体の1つであるCCR7が発現しているとリンパ節転移の頻度が高まることが明らかとなった。特に進達度の低いT1症例で強い相関性が認められ、CCR7の発現がリンパ節転移の予測に使える可能性がある。さらにEMR(内視鏡的粘膜切除術)の対象になるがリンパ節転移の懸念があるm3/sm1症例における転移予測因子となる可能性が示唆された。7月23日から24日に旭川市で開催された日本がん転移学会で慶応義塾大学医学部外科の入野誠之氏が発表した。

 入野氏らは、リンパ節にはCCR7の結合相手(リガンド)であるCCL21が発現しており、in vitroの実験でCCL21を発現させた細胞とCCR7を発現した細胞の間で遊走が起こることを確認している。

 対象は同大学で胸腹部食道扁平上皮癌と診断され、根治手術を受けた105人の患者。組織、予後を解析した。手術によりCur A(癌の遺残がない手術)もしくはCur B(明らかな癌の遺残がない手術)、かつR0もしくはR1を達成した患者で、術前未治療だった。

 手術の病理検体を、抗CCR7抗体を用いて免疫化学染色を行った。CCR7の評価は、intensity(強度)を0から3段階に分け、Proportional(割合)を0から4段階に分け、両者を掛け合わせた結果1以上となったものを陽性と判定した。その結果105人中28人(26.7%)がCCR7陽性だった。

 リンパ節転移の有無との関係を調べたところ、CCR7陽性群では転移陽性が23人、転移陰性が5人だったのに対してCCR7陰性群では転移陽性が45人、陰性が32人で、CCR7陽性群で転移発生率が高いことが示された(p=0.0437)。

 5年全生存率は、CCR7陰性群では50.6%、CCR7陽性群では25.0%だった。5年無再発生存率はCCR7陰性群で51.9%、CCR7陽性群で25.0%だった。

 T1(m、sm)症例61人に限定して解析したところ、CCR7陽性は17人(27.9%)だった。CCR7陽性患者17人のうち、リンパ節転移陽性は10人、陰性は7人。CCR7陰性患者44人のうちリンパ節転移陽性は14人、陰性は30人だった。5年全生存率は、CCR7陰性群では77.3%、CCR7陽性群では52.9%だった。5年無再発生存率はCCR7陰性群で86.4%、CCR7陽性群で47.1%だった。