英GlaxoSmithKline社の子宮頸がん予防用ワクチン「Cervarix」に関する、過去最大規模のフェーズ3試験の最終解析結果が論文発表された。フィンランドHelsinki大学のJorma Paavonen氏が、7月7日付けのLancet誌電子版で詳細を報告した。

 Cervarixは免疫増強剤(アジュバント)AS04を含むヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンで、HPV16型と18型を標的とする。子宮頸がんの約70%は、HPV16型または18型の感染が原因と考えられている。

 最終分析結果は、このワクチンが、HPV16、18以外の子宮頸がんハイリスクHPV3タイプ(31型、33型、45型)に対する交差防御能を有し、子宮頸部の前がん病変、すなわち子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)分類で2+(中等度異形成)の病変の形成を予防することを示した。交差防御の存在により、ワクチンのCIN2+予防効果は11〜16%高まることになる。

 この試験の名前はHPV 008 PATRICIA (PApilloma TRIal Cervical cancer In young Adults)。多施設共同の無作為化二重盲検試験で、15歳から25歳の女性1万8644人を欧州、アジア太平洋地域、北米、南米の14カ国で登録した。細胞診で高度異形成が見られた女性は除外したが、既にHPVに感染していた女性またはPapスメアで異常な細胞が見つかった女性も登録、「Cervarix」(介入群)とA型肝炎ワクチン(対照群)に割り付けた。接種は、0カ月、1カ月、6カ月の3回実施した。「Cervarix」接種を受けたのは9319人、A型肝炎ワクチンの接種を受けた女性は9325人。

 割り付けられたワクチンの3回接種を完了した「ATP-Eコホート」は、介入群8093人、対照群8069人。

 ワクチンの接種を1回以上受けた「TVCコホート」は、介入群9319人、対照群9325人で、性的に活発な一般集団に最も近いコホートとして評価した。

 ベースラインでHPV感染陰性で、ワクチン接種を1回以上受けた「TVC-naïve」コホートは、介入群5822人、対照群5819人からなり、性的に活発になる前の女性の集団と見なした。

 追跡期間の平均は3回目の接種から34.9カ月だった。ATP-Eコホートでは、「Cervarix」接種によりHPV16/18感染に関連するCIN2+は92.9%予防された(有効率92.9%)。さらに、複数のハイリスクHPVの混合感染がある病変について原因と考えられるHPV型を判定し分析したところ、HPV16/18関連CIN2+に対する有効率は98.1%になった。

 病変部に存在するHPV型に関わらず、CIN2+予防におけるワクチンの有効率を計算すると、TVC群では30.4%、TCV-naive群では70.2%となった。CIN3+に対する有効率は、それぞれ33.4%と87.0%だった。

 ワクチンが直接の標的としていないハイリスクHPV 12タイプによるCIN2+に対する有効率は、ATP-Eコホートで54.0%。病変部にHPV16または18も検出されたケースを除くと、有効性は37.4%になった。

 HPV31、33、45感染に関連するCIN2+に対する有効性は、ATP-Eコホートではそれぞれ92%、51.9%、100%、TVCコホートでは68.4%、49.8%、100%だった。

 ワクチン接種により、TVCコホート、TVC-naiveコホートの両方で、膣鏡検査が必要と判定され他の医療機関に紹介される女性の数と、子宮頸部切除術が適用される患者の数は減少していた。

 このワクチンは、欧州連合の27カ国を含む97カ国で承認されている。米国、日本でもすでに承認申請が提出されている。