脂溶性のシスプラチン誘導体であるミリプラチン(SM-11355)が切除不能肝細胞癌に対する肝動注薬として、スマンクス(一般名:ジノスタチン スチマラマー、以下ジノスタチン)と同等の効果があり、血管障害などはより少なく、繰り返し治療が可能で、肝動脈塞栓療法剤としても期待できることが明らかとなった。国内で行われた後期無作為化フェーズ2試験の結果示されたもの。

 ジノスタチンは、一般的にリピオドール(ケシ油脂エチルエステル)と共に肝動注されている抗癌剤。ミリプラチンもリピオドールへの懸濁性がよく、リピオドールと共に腫瘍に滞留して活性体を徐放する。成果は7月3日から4日に福岡市で開催された日本肝癌研究会で、国立がんセンター東病院の池田公史氏が発表した。

 フェーズ2試験は進行度分類が2または3の患者で行われ、有効性は主要評価項目が、日本肝癌研究会肝癌治療直接効果判定基準でのTE Vの割合で、副次評価項目がRECIST基準による完全奏効(CR)と部分奏効(PR)の割合とされた。

 試験は2002年4月から2004年10月までに17の医療機関で施行された。登録症例は131人で、投与症例は126人、SM-11355群には85人(解析対象は83人)、ジノスタチン群には41人(解析対象は39人)が割り付けられた。投与液量は6mLを上限として、腫瘍の大きさに応じて決められた。

 試験の結果、SM-11355群のTE Vの割合は26.5%、ジノスタチン群は17.9%だった。またCRとPRを合わせた割合は、SM-11355群が24.1%、ジノスタチン群は25.6%だった。2年生存率はSM-11355群が75.9%、ジノスタチン群は70.3%、3年生存率はSM-11355群が58.4%、ジノスタチン群は48.7%、全生存期間中央値はSM-11355群が1360日、ジノスタチン群は1031日で、効果は同等だった。

 ジノスタチン群では血管障害が全グレードで48.4%、肝内シャントが16.1%、不可逆的な肝胆道系障害が7.7%の患者で発現したのに対し、SM-11355群では1人も発現しなかったのが大きな違いだ。しかも、シスプラチン製剤では重い腎機能障害を引き起こすことが知られているが、SM-11355群には重度の腎機能障害は発現しなかった。

このほか、SM-11355群のグレード3以上の主な有害事象は血小板減少、AST上昇、ALT上昇、総ビリルビン上昇、血糖上昇。ジノスタチン群のグレード3以上の主な有害事象は、血小板減少、AST上昇、ALT上昇。