膵癌患者の生涯を通しての体重変動を検討した結果、20代から40代のBMI(体格指数)が高値だった人は膵癌の発症年齢が低く、全生存期間も短いことが明らかになった。6月24日発行のJAMA誌(2009,301,2553-2562)で、米テキサス大学M.D.Andersonキャンサー・センターのDonghui Li氏らが発表した。

 膵癌は、米国の癌死の中で男女ともに第4位の死因になっている。米国癌協会(ACS)は、2009年に膵癌と診断される人は4万2470人を超え、膵癌で死亡する人は3万5240人に上ると推定している。膵癌患者の全生存期間の中央値は10カ月未満で、5年生存率は5%に満たない。

 Li氏によると、膵癌症例の25%は肥満と、27%は喫煙と相関するという。米国では、喫煙者数は減少しているものの、肥満者数は増加しており、BMIが30以上の人は過去20年間で60%増加している。この試験は、いつ太っていると膵癌に罹患しやすいかを調査した初めての試みという。

 「我々が目指したのは、患者の生涯を通してのBMIと膵癌のリスクの相関を検証すること。特に膵癌に罹患しやすい年代があるのか、またBMIと膵癌の発症率、膵癌患者の全生存期間の関連を決定することにある」とLi氏は話した。

 この試験では、2004〜2008年に膵腺癌(膵癌の約95%を占める癌)で治療した841人と対照の健常者754人に質問表を用いて個々に面談を行い、喫煙歴や癌についての家族歴、飲酒歴、既往歴などについて情報を得た。同時に14〜19歳、20〜70代までの10年ごとの身長と体重、ならびに膵癌と診断された前年または試験登録の前年の身長と体重から、各時点のBMIを算出した。

 その結果、糖尿病の状態とは関係なく、14〜39歳のBMIが25〜29.9(過体重)の患者では60%、20〜49歳でBMIが30以上(肥満)の患者では2〜3倍、膵癌のリスクが増えた。BMIの平均値(5単位の上昇ごとに)と膵癌のリスクとの相関は、女性より男性で強く認められた。相関が統計学的に有意だったのは、男性では14〜69歳、女性では14〜39歳の各年代。また、喫煙歴がない患者の10.3%、喫煙歴がある患者の21.3%が、診断前の若い年代で過体重または肥満だった影響で膵癌に罹患したと推定された。

 20〜49歳で過体重または肥満だった患者は、正常体重の患者よりも2〜6年早く膵癌を発症している。発症年齢の中央値は、正常体重の患者では64歳、過体重の患者では61歳、肥満の患者では59歳だった。さらに正常体重の患者と比べると、30〜79歳または試験登録の前年に過体重または肥満の患者で、病期や腫瘍の切除の状態に関係なく全生存期間が短縮した。診断前の1年以内に正常体重だった患者の全生存期間の平均が18カ月であるのに対し、過体重および肥満の患者では13カ月だった。

 本試験の責任者である同センターのJames Abbruzzese氏は、「喫煙と同様、肥満は修正可能な危険因子。若い年代での体重管理は、膵癌のリスクを低下させるための一次予防の戦略にすべきと示唆される」と話した。