転移性腎細胞癌を対象としたスニチニブ治療において、血管内皮成長因子受容体VEGF)の一塩基多型SNP)のうち、SNP-634 G/G遺伝子タイプと高血圧症との関連が示された。また同時に、VEGF-1498遺伝子型は高血圧症との関連性はなかったことも報告された。試験内容は5月29日から開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO)のClinical Science Symposiumで米Cleveland ClinicのJ. J. Kim氏によって発表された。

 Kim氏らは、腎細胞癌に対するスニチニブ治療において、高血圧症を進行させる要因としてVEGF SNPsが関与しているのではないかとの仮説のもと、VEGF SNPsと高血圧症との関連性を評価することを目的に、転移性の腎細胞癌患者63人を対象にレトロスペクティブな解析を行った。

 患者は男性49人、女性14人で、年齢中央値は60歳。腎摘出術を受けている患者は89%におよび、治療ではスニチニブ50mgが4週投与、2週休薬のスケジュールで投与されていた。対象の57%が降圧剤の治療を受けており、血圧はおよそ4週ごとに測定された。収縮期血圧(最高血圧)の中央値は139mmHgで、収縮期血圧が150mmHg以上の患者は29%。一方、拡張期血圧(最低血圧)の中央値は80mgHgで、拡張期血圧が90mgHg以上の患者は21%だった。また収縮期血圧150mgHg以上で拡張期血圧が90mgHg以上の患者は38%を占めていた。

 解析は多変量解析によって行われた。高血圧の発生頻度を遺伝子型別でみると、VEGF SNP-634ではG/Gが94%と最も多く(p=0.03)、VEGF SNP-1498においては、C/C、C/T、T/Tの順に多かった(p=0.03)。

 収縮期血圧150mgHg以上で拡張期血圧90以上のそれぞれの遺伝子型における全治療期間の比率は、VEGF SNP-634ではG/Gが27.2%と最も高く(p=0.007)、SNP-1498では有意差は得られなかった(p=0.26)。

 VEGF SNPs(-634、-1498)と腫瘍容積の減少および無増悪生存期間(PFS)との関連性はみられず、高血圧と腫瘍の容積の減少あるいは無増悪生存期間との関連も示されなかった。

 解析結果からKim氏は、転移性腎細胞癌患者に対するスニチニブ治療においては、VEGF SNP-634 G/Gが高血圧の発症、持続期間ともに関与していると結論づけた。またSNP-1498に関しては高血圧との関連は示されず、SNPsや高血圧と臨床結果との関連性もみられなかったとした。

 同試験の発表後に行われたDiscussionで、Indiana UniversityのBryan P. Schneider氏は同試験における限界としてサンプルサイズやSNPsの選択、対照群がないなどの点を指摘しながらもSNPsやphenotypeをベースとした強力な予測データであるとコメントした。