カルシウムマグネシウム(CaMg)の投与により、オキサリプラチンに関連する筋痙攣やオキサリプラチンの用量制限毒性である慢性・蓄積性の感覚神経毒性が有意に減少することから、CaMgは神経保護薬として推奨できることがわかった。この成果はプラセボ対照第3相試験の結果の解析から明らかになったもので、5月29日から6月2日に米国オーランドで開催された第45回米国臨床腫瘍学会(ASCO2009)のPoster Discussionで、米国Mayo ClinicのAxel Grothey氏が発表した。

 オキサリプラチン(国内での商品名:エルプラット)は特徴的な毒性プロファイルを有する。その一つ、慢性・蓄積性の末梢の感覚神経毒性はオキサリプラチンの用量制限毒性で、緩和療法やアジュバント療法におけるオキサリプラチンベースの治療の早期中止につながる場合が多い。

 Grothey氏らはすでにN04C7試験でNational Cancer Institute-Common Toxicity Criteria(NCI-CTC)による評価として、オキサリプラチンに関連する感覚神経毒性に対しCaMgに保護効果があることを証明している。

 今回、同氏らは、N04C7試験の結果の解析から、治療中または治療終了時にNCI-CTC v3.0によるグレード2および慢性の末梢神経障害がある患者の割合や、急性神経障害性の事象がある患者の割合などを明らかにした。

 解析の対象としたのは、ステージIIまたはIIIの大腸癌の術後で、アジュバント療法としてオキサリプラチン85mg/m2を2週ごとに12サイクル投与した患者102人。CaMgとしてグルコン酸カルシウム1g+硫酸マグネシウム1gを5%ブドウ糖液100mLとともにオキサリプラチン投与前後に静脈内投与する群50人と、同量のプラセボを静脈内投与する群52人に二重盲検で無作為に割り付けた。年齢65歳以上、男性、白人、mFOLFOX6を行った割合は、CaMg群ではそれぞれ34%、54%、96%、98%で、プラセボ群では39%、52%、96%、94%であった。

 オキサリプラチンに特異的な感覚神経毒性について、NCI-CTCのスケールでグレード2以上の毒性の発生率はCaMg群22%、プラセボ群41%(p=0.038)であった。オキサリプラチンスケールでグレード2以上の毒性の発生率はCaMg群28%、プラセボ群51%であった(p=0.018)。

 さらにGrothey氏らは、各受診時に患者が3つの質問に答えるPatient-Reported Outcome(PRO)質問表を用いて、急性と慢性の神経毒性に対するCaMgの効果を評価した。

 急性症状について1サイクル目のDay2で比較すると、冷たいものに対する感受性、嚥下時不快感、咽頭不快感についてはCaMg群とプラセボ群に有意差はみられなかったが、筋痙攣についてのみ、CaMg群で有意に減少した(p=0.002)。

 慢性・蓄積性の感覚神経毒性については、手指や足指のしびれ(p=0.02)、手指や足指のひりひりするような痛み(p=0.06)など、CaMg群で有意に改善していた。シャツのボタンをかける動作の障害(p=0.05)や治療期間を通しての筋痙攣(p=0.01)などについても、CaMgの効果が顕著に認められた。

 本解析から、CaMgは慢性・蓄積性の感覚神経毒性と筋痙攣を有意に減少させることが証明された。さらに、急性の感覚神経毒性と筋痙攣では異なる病態生理学的起源が存在すること、急性の感覚神経毒性および慢性・蓄積性の感覚神経毒性は明らかに神経病理学的な現象であることが本解析データにより示された。