膵癌患者に対する術後補助化学療法として、ゲムシタビン単剤と5-フルオロウラシル/ロイコボリン(5-FU/FA)の延命効果を比較したところ、生存期間に差はなかったという国際多施設試験「ESPAC-3(v2)」の結果が明らかになった。安全性についてはゲムシタビンの方が副作用が少なかった。5月29日から6月2日までオーランドで開催された第45回米国臨床腫瘍学会・年次集会(ASCO2009)で、試験グループのEuropean Organization for Research and Treatment of Cancerを代表して、英国University of LiverpoolのJ. Neoptolemos氏が発表した。

 ESPAC-3(v2)は、組織学的に確認された膵管癌の肉眼的治癒切除例を対象に、術後補助化学療法としてのゲムシタビンと5-FU/FAの延命効果と安全性を比較するオープンラベル試験。試験には16カ国以上の多施設が参加した。

 膵癌の術後補助療法としては、欧州では5-FU/FAが標準的であり、米国ではゲムシタビンが単剤療法として、あるいは放射線療法と併用して一般に用いられている。膵癌術後の補助療法として両者を直接比較した大規模試験はこれが初めて。

 なお、ESPAC-3(v2)の試験名の「(v2)」は、当初の計画「ESPAC-3(v1)」で予定していた観察のみの群をなくし、統計学的検出力を高めるために被験者数を各群330人から515人に増やしたことによる。

 5-FU/FA群では、各サイクルの初日のみロイコボリン20mg/m2、第1〜5日に5-FU 425mg/m2を投与してその後は休薬し、28日を1サイクルとして6サイクル行った。ゲムシタビン群では、ゲムシタビン1000mg/m2を28日サイクルの1日目、8日目および15日目に投与した。両群とも治療は計6サイクル実施した。

 その結果、中央値34カ月の観察期間で、生存期間中央値は5-FU/FA群(551人)で23カ月、ゲムシタビン群(537人)は23.6カ月だった。無進行生存期間はそれぞれ14.1カ月、14.3カ月であり、いずれも両群間に差はなかった。

 副作用については、白血球減少、血小板減少の頻度はゲムシタビン群の方がやや高かったが、それ以外は5-FU/FA群の方が多く、特にグレード3/4の口内炎(5-FU/FA群10%、ゲムシタビン群0%)、下痢(13%、2%)、治療に伴う入院(10%、3.5%)では大きな差がみられた。

 以上のデータから、Neoptolemos氏は、「膵癌術後患者の延命効果について5-FU/FAとゲムシタビンに差がないことを示せたのは重要だ。ただ、安全性からはゲムシタビンの方が補助療法として好ましいと言えるだろう」と指摘し、「次のESPAC-4試験では、ゲムシタビン単剤とゲムシタビン/カペシタビンを比較することを計画している」と締めくくった。