前立腺癌の若い男性が早期に死亡するリスクは低いが、癌が進行性の場合、同様の癌の高齢の男性よりも生存期間は短い。この知見は、米国癌協会の査読誌「CANCER」誌の2009年7月1日号(オンライン発行は同年5月22日)にワシントン大学Daniel Lin氏らが発表したコホート研究によるもの。逆説的な知見は若い男性と高齢の男性に発生する前立腺癌に生物学的な違いがある可能性を示しており、この違いを明らかにすることが調整スクリーニングおよび年齢に基づいた患者の治療戦略に役立つと考えられる。

 一般的に若い癌患者の予後は同じ癌腫の高齢者に比べて良好である。しかし、前立腺癌の診断と治療を受けた若い男性と高齢の男性の健康状態を解析した研究はほとんどない。

 前立腺癌の予後に年齢が与える影響を調査するため、Lin氏らは米国で前立腺癌と診断された男性の診断時の年齢と健康状態の転帰の関係を検討した。米国国立癌研究所の「Surveillance, Epidemiology, and End Results」(SEER)のデータベースを調査し、1988〜2003年に前立腺癌と診断された31万8774人の男性を同定した。そして、35〜74歳の男性を診断時の年齢で層別化し、各年齢群における腫瘍の性質、治療、生存期間の違いを検討した。

 解析で明らかになったのは、若い年齢で前立腺癌と診断されている男性は、より広範なスクリーニングで診断される傾向にあることだった。また、若い男性は前立腺切除術による治療を受けやすく、悪性度が高い癌は少なく、高齢の男性に比べて10年後も生存している確率が高い。しかし、進行性前立腺癌の男性では、若い男性(35〜44歳)は高齢の男性に比べて特に予後が不良である。

 このような予想外の知見の根拠は明らかになっていないが、Lin氏らは、進行性前立腺癌の若い男性は、高齢の男性で診断された癌よりも生物学的に悪性度が高い癌の可能性があると推測している。若い男性と高齢の男性の進行性前立腺癌に違いがあるとしたら、それが何かを見極めるさらなる研究が必要である。このような研究により、若い男性のスクリーニングが改善され、最終的にこのような患者に有効な治療戦略の開発につながると考えられる。