第3相無作為化試験で、腫瘍内にヒトパピローマウイルスHPV)が含まれるステージ3または4の口咽頭癌患者の転帰は、HPVが含まれない陰性の口咽頭癌患者よりも良好で、腫瘍内のHPVの状態は全生存期間(OS)や無増悪生存期間(PFS)と強く相関することが分かった。詳細は、5月29日から6月2日に米国オーランドで開催される第45回米国臨床腫瘍学会ASCO)のOral Presentationで発表される予定だ。

 ASCOに先駆けて5月14日に行われた記者発表で、オハイオ州立大学でmedicine、epidemiology、otolaryngology部門の教授を務め、本試験の筆頭筆者でもあるMaura L. Gillison氏は次のように話した。「今回の結果により、年齢や喫煙歴など他の因子を考慮した後でも、HPVの状態は口咽頭癌患者にとって癌のステージと同程度に転帰の強力な予測因子であることが明らかになった。理由はまだ完全に解明できていないが、今回のデータから、HPV陽性の口咽頭癌は1つの明確な疾患の実体であるというエビデンスが得られた」。

 過去の小規模試験では、HPV陽性の口咽頭癌患者はHPV陰性患者よりも経過が良好であることが示されていた。しかし、HPV陽性の口咽頭癌患者はHPV陰性患者よりも年齢が若く、診断時に腫瘍が小さく、喫煙者が少ない傾向も認められた。今回の発表は、大規模臨床試験において同じ治療を受けた患者で、他の因子もHPVと一緒に十分考慮した初の試験の結果となる。

 本試験はGillison氏らがRadiation Therapy Oncology Groupの第3相試験の一部として行った、通常分割照射法とシスプラチン(cis)(100mg/m2、day1、22、43)を投与する併用療法と加速過分割照射法とcis(100mg/m2、day1、22)を投与する併用療法とを比較する無作為化試験。同氏らは、HPV(多くはHPVの16型)を含む口咽頭癌患者206人と、HPV陰性の口咽頭癌患者117人のPFSとOSを比較した。

 2年の時点でHPV陽性患者の87.9%は生存しており、HPV陰性患者では65.8%であった。PFSはそれぞれ71.8%と50.4%であった。5年の時点でHPV陽性患者の二次原発癌の発生率は9.0%で、HPV陰性患者の18.5%と比べ、半分未満であった。標準的な化学放射線療法を受けた患者では、HPVの状態はOSとPFSに強く相関することが示された。

 Gillison氏は、HPVと頭頸部癌の関連がすでに臨床試験のデザインを変えつつある点に注目している。試験責任医師はHPVの状態で患者を層別化している。また、このような癌を予防するHPVワクチンの有効性を評価する他の試験のデザインも進められているという。