米OSI Pharmaceuticals社は、エルロチニブ(商品名:タルセバ)のフェーズ3試験「SATURN」で、進行性非小細胞肺癌無増悪生存期間が有意に改善したと発表した。試験では白金系製剤を中心とした化学療法の一次治療で進行しなかった患者に対して、エルロチニブが維持治療として投与された。また、EGFR変異陽性の患者では顕著な無増悪生存期間の改善が認められた。

 SATURN試験は国際的な無作為化二重盲検試験で、およそ160施設の進行性非小細胞肺癌患者889人を対象に実施された。白金系製剤をベースとした標準的な一次治療を4サイクル行った後に、進行が見られない患者をエルロチニブ群とプラセボ群に分けた。

 主要エンドポイントは全患者における無増悪生存期間(PFS)で、無作為化から病勢進行もしくは死亡までの期間とした。もう一つの主要エンドポイントとして、免疫組織化学法によるEGFR陽性患者のPFSが設定された。副次エンドポイントは、全生存、安全性、EGFR変異およびK-ras変異を含むバイオマーカーの評価とされた。

 エルロチニブ群の患者の25%は6カ月後まで病勢進行がなく、プラセボ群では15%だった。PFS中央値はエルロチニブ群で12.3カ月、プラセボ群は11.1カ月であったが、ハザード比0.71、p<0.00001だった。

 また、EGFR陽性患者のPFSでも、エルロチニブ投与による有意な改善が示された(ハザード比0.69、p<0.0001)。PFSの改善は扁平上皮癌でも(ハザード比は0.76、p=0.0148)、非扁平上皮癌でも認められた(ハザード比は0.68、p<0.0001)。

 サブグループ解析において、EGFR変異陽性の患者では、プラセボ群に比べ、エルロチニブ群のPFSは10倍にも及んだ(ハザード比0.10、p<0.0001)。一方、K-ras変異ではエルロチニブ投与によるPFSの改善はみられず(ハザード比0.77、p=0.679)、K-ras変異はエルロチニブの効果予測因子ではないことが確認された。

 安全性に関しては、非小細胞肺癌に対するエルロチニブ治療ですでに報告された副作用と同じだった。皮疹がエルロチニブ群が49.2%、プラセボ群が5.8%、下痢がそれぞれ20.3%、4.5%で、減量を要した患者はエルロチニブ群では11.1%、プラセボ群でも1%に見られた。副作用による投与中止はそれぞれ4.6%と1.6%だった。

 治験責任医師であるイタリアIstituto Clinico Humanitas IRCCSの Federico Cappuzzo氏は、「試験の結果は進行性肺癌患者に臨床的なベネフィットを提供した。1日1回の経口投与によって、良好な安全プロファイルで、病気の進行もなく生存期間が延長できる。これは肺癌治療において重要な前進だ」と述べている。