第3相試験「IPASS(IRESSA Pan-Asia)」の中間解析により、上皮成長因子受容体EGFR遺伝子変異の状態は、アジア人の非小細胞肺癌NSCLC)患者に対するファーストライン治療のゲフィチニブ(商品名:イレッサ)の有効性を予測する強力なバイオマーカーであることが明らかになった。詳細な結果は、5月29日から6月2日に米国オーランドで開催される第45回米国臨床腫瘍学会ASCO)のOral Presentationで発表される。

 本試験では主要評価項目を無増悪生存期間(PFS)、副次的評価項目を奏効率としている。EGFR遺伝子に変異を伴うNSCLCの非喫煙者または軽度喫煙者のアジア人患者は、カルボプラチン/パクリタキセルに比べゲフィチニブのファーストライン治療で有意にPFSが延長し、奏効率が高いことが判明した。EGFR遺伝子に変異を伴わない患者のPFSおよび奏効率は、カルボプラチン/パクリタキセルよりもゲフィチニブで低かった。

 ASCOに先駆けて5月14日に行われた記者発表で、本研究の筆頭筆者である近畿大学医学部腫瘍内科の福岡正博氏は、「EGFR変異の状態は、NSCLC患者に対するファーストラインのゲフィチニブの有効性についての強い予測因子であることが示された。同様の患者集団ではEGFR変異の検査を行うよう考慮すべきである。ゲフィチニブは従来の治療よりも副作用が少ない傾向にあり、経口投与のため、患者が高いQOLを維持する上で役立つと考えられる」と話した。

 IPASS試験の以前のデータからは、アジア人のステージIIIB/IVBの肺腺癌の非喫煙者または軽度喫煙者の患者では、ゲフィチニブによるファーストライン治療は、従来の治療よりも癌の増殖を抑制する効果が高いことが示された。しかし、効果に一貫性がなく、PFSは最初にカルボプラチン/パクリタキセルで良好となり、その後は経時的にゲフィチニブで良好となった。

 福岡氏らは、どの患者がゲフィチニブで最もベネフィットを得るのか、そしてEGFRに関連するどのバイオマーカーが有意に腫瘍増殖の遅延と全生存期間の延長を予測するのかを探求し、特定した。

 今回の中間解析では全生存期間に有意差は観察されなかったが、福岡氏は生存期間について結論を出すのは時期尚早としている。