低用量アスピリンといった抗炎症薬は、消化管出血を起こしやすいことが知られている。菊名記念病院消化器内科の渡邉大輔氏らはこれを踏まえ、低用量アスピリン内服者では便潜血検査の偽陽性が増加するのではないかと予想、検討結果を第95回日本消化器病学会総会で報告した。

 対象は、2005年7月から2008年4月までに便潜血検査を施行した2539人のうち、便潜血検査陽性で大腸内視鏡検査を行った274人(男性167人、女性107人、平均年齢64歳)。274人を、低用量アスピリン内服中の44人と非内服230人に分けて、病変検出率を比較した。

 低用量アスピリン内服中の44人で腫瘍性病変が見つかったのは7人(15.9%)で、非内服230人で病変が見つかったのは74人(32.2%)となり、低用量アスピリン内服群で有意に偽陽性が多かった(p=0.0288)。また、発見した病変自体の形態や大きさ、種類に両群で差はなかった。

 渡邉氏は「便潜血検査は大腸癌の検出感度が高いことが最大のメリットであり、今回の結果は便潜血検査の意義を否定するものではない。ただし、低用量アスピリンなど、消化管出血を来しやすい薬剤を服用している被験者において、薬剤の影響をより考慮する必要があるのではないかと考えられる。なお、より大規模な症例を集めて同様の検討を行いたい」と結んだ。