全身状態の良い高齢膵癌患者であれば、血球減少を中心とした副作用に注意しながら、ゲムシタビンファーストラインとして、積極的に投与することが有用であることが明らかとなった。70歳以上の高齢者における切除不能膵癌に対し、ゲムシタビンをファーストラインとして投与した症例と支持療法(BSC)のみの症例を、レトロスペクティブに解析した結果、示されたもの。成果は5月7日から9日に札幌市で開催されている日本消化器病学会総会で、慶応義塾大学消化器内科の山岸由幸氏が発表した。

 研究グループは、2000年以降、慶応義塾大学消化器内科における70歳以上の切除不能膵癌症例のうち、ファーストラインとしてゲムシタビン1000mg/m2を週1回、3週投与して1週休薬するスケジュールで投与した34人と、BSCのみとなった14人を対象に、予後などについて解析した。

 その結果、ゲムシタビン投与群の生存期間中央値は248日だったのに対して、BSC群は139日と、統計学的に有意に延長することが確認された。

 ゲムシタビン群における長期生存因子は、単変量解析の結果、CA19-9値、奏効、奏効・不変、ファーストラインゲムシタビン投与量、腫瘍マーカーの20%超改善率が見出された。多変量解析(ロジスティック回帰分析)では、長期生存因子は、CA19-9が1500U/mL超でオッズ比が17.652と有意に悪い因子、腫瘍マーカーの20%超改善率はオッズ比0.0492で有意に良い因子だった。

 70歳以上の全症例におけるCox比例ハザード分析では、ゲムシタビン投与がハザード比0.2331、1500U/mL超のCA19-9がハザード比4.8500で、それぞれ有意な因子だった。

 ゲムシタビンの投与を受けた70歳以上の34人と70歳未満の44人のデータを比較したところ、生存期間の中央値は、70歳未満で288日であり、70歳以上の248日と効果に差はなかった。一方、ゲムシタビンの投与1クール目での減量投与は、70歳以上が70歳未満よりも有意に多く、特に血球減少が主な理由だった。また、80歳以上の超高齢者8人でも生存期間中央値は311日だった。