遺伝子組み換えワクチンTG4010を、化学療法と併用で非小細胞肺癌NSCLC)患者に投与するフェーズ2b臨床試験において、効果を予測できるバイオマーカーが明らかとなった。成果は4月18日から22日にデンバーで開催された米国癌研究会議AACR)で、フランスTransgene社のBruce Acres氏によって発表された。臨床効果の最新データは、5月末から開催される米国臨床腫瘍学会(ASCO)で発表されるという。

 TG4010は、ワクシニアウイルス(MVA)をベクターとし、MUC1という癌抗原の遺伝子とインターロイキン2(IL2)遺伝子を組み込んだ組み換えウイルスワクチン。MVAは、抗原に対して強い免疫反応を誘導できる作用を持つことが知られている。加えて、IL2遺伝子も組み込んでいるため、特異的T細胞の反応を刺激できると考えられている。つまり、MUC1を発現している癌に対し、免疫反応を誘導できることになる。

 無作為化多施設フェーズ2b試験は、3b期と4期の患者148人を対象に行われた。対照群は3週間を1サイクルとしてシスプラチン75mg/m2を1日目に、ゲムシタビン1250mg/m2を1日目と8日目に投与した。投与は、最大6サイクルまで行われた。TG4010群は同じ化学療法に加えて、TG4010の10の8乗pfuを毎週6週間投与し、その後は3週置きに病状が増悪するまで投与した。主要評価項目は6カ月時点での無増悪生存率で、副次評価項目は全生存期間、奏効率、安全性、免疫学的なパラメーターだった。

 主要評価項目は達成され、6カ月時点の無増悪生存率は対照群が35%だったのに対して、TG4010群は44%だった。奏効率は対照群が27%で、TG4010群は43%。全生存期間中央値は対照群が10.3カ月に対して、TG4010群は10.7カ月だった。

 1日目、43日目と85日に、138人について血液を採取し解析を行った。TG4010群は、1日目の活性化ナチュラルキラー細胞数が正常値の患者(48人)の生存期間中央値(17.1カ月)の方が、高値の患者(21人)の生存期間中央値(5.3カ月)より有意に長かった。対照群では活性化ナチュラルキラー細胞数の上下によって、生存期間に差はなかった。

 また、TG4010群は、1日目に炎症関連血漿たんぱく質(sCD-54、IL-6、M-CSF)正常値の患者の生存期間中央値の方が、高値の患者の生存期間中央値よりも有意に長かった。対照群では炎症関連血漿たんぱく質の量による生存期間の有意な差はなかった。

 一方、43日目の測定で、TG4010群においては活性化T細胞数が中央値よりも多い群(28人)の生存期間中央値は17カ月以上だったのに対し、中央値よりも少ない患者(29人)では10.4カ月だった。対照群は11.3カ月と11.4カ月と差がなかった。

 また、活性化T細胞が中央値よりも多くかつインターフェロンγが検出できた患者では、TG4010群(15人)では生存期間中央値が20カ月以上だったのに対して、対照群(11人)では7.6カ月で、TG4010群でTh1機構が働いていることを示唆する結果となった。