米国立癌研究所(NCI)所長のJohn E. Niederhuber氏は、4月18日から22日にデンバーで開催された米国癌研究会議AACR)において、研究補助金の供与の拡充や個別化治療の基盤開発、癌遺伝子プログラムの推進など、癌研究を前進させるための計画の概要を発表した。

 今会計年度において、NCIの予算は約3%増加した。これは米オバマ大統領とバイデン副大統領の「The Obama-Biden Plan to Combat Cancer」によるもの。計画には、米国立衛生研究所(NIH)とNCIに対し、今後5年以内に癌研究資金を倍増させることや、臨床試験に参加する癌患者を10%まで引き上げること、個別化医療を推進することなどが盛り込まれている。

 Niederhuber氏は、「我々は新しい科学を実践し、癌に対し早急に前進しなくてはならない。今年度の予算増額と、米国が打ち出した再生・再投資法案「American Recovery and Reinvestment Act」からの資金が実現を後押しする」と述べている。さらに「癌研究は他の主要な疾患の診断や治療にも貢献するので、NCIの活動は、国民の健康を増進するための科学的な発展につながる」としている。

 NCIとしては、予算増額によって、研究補助金を適用する際のペイラインを引き上げ、より多くの価値ある研究に資金を供与したいとしている。また、新規申請者への補助金供与や、薬剤開発を含めた個別化治療の進展、ゲノム解析技術による「Cancer Genome Atlas (TCGA)」の拡大、さらに癌生物学から新規アプローチを探索するための「Physical Sciences-Oncology Centers (PS-OCs)」と呼ぶネットワークづくりなどを目標として挙げている。