BRAF遺伝子、PIK3CA遺伝子、KRAS遺伝子の3つの遺伝子に変異があることと、PTEN遺伝子の発現が損失することが、転移性大腸癌に対する抗上皮成長因子受容体(EGFR)抗体の効果を損なわせる可能性が明らかとなった。転移性大腸癌患者でセツキシマブまたはパニツムマブの抗EGFR抗体の治療を受けた患者132人の検体をレトロスペクティブに解析した結果、明らかとなったもの。成果は、4月18日から22日に米デンバーで開催されている米国癌研究会議(AACR)で、イタリアUniversity of Turin School of MedicineのFederica Di Nicolantonio氏によって発表された。

 抗EGFR抗体が無効な患者でKRASに変異があることが原因なのは40%から50%といわれている。Nicolantonio氏は、昨年10月にスイス・ジュネーブで開催された第20回EORTC-NCI-AACR Symposium on Molecular Targets and Cancer Therapeuticsで、KRAS野生型の患者でもBRAF遺伝子に変異があると抗EGFR抗体療法が効かない可能性を指摘していた。

 Nicolantonio氏らの研究グループは、132人の検体でレトロスペクティブに、BRAF遺伝子、PIK3CA遺伝子、KRAS遺伝子、PTEN遺伝子の4遺伝子の変化を調べた。

 KRAS遺伝子に変異があった患者は35人、PTEN遺伝子の発現が失われていた患者は23人、BRAF遺伝子に変異があった患者は11人、PIK3CA遺伝子に変異があった患者は17人だった。

 KRASとPIK3CAに変異があった患者は1人、KRAS変異とPTEN損失があった患者は12人、KRASとPIK3CAに変異がありPTEN損失があった患者は1人、PIK3CAに変異がありPTEN損失があった患者は2人、BRAFとPIK3CAに変異がありPTEN損失があった患者は2人、BRAFとPIK3CAに変異があった患者は5人、BRAFに変異がありPTENが損失している患者は1人。KRASとBRAFの両方に変異がある患者はいなかった。

 遺伝子に変化がなかった55人中23人では臨床的効果があったが、1つ変化があった患者では56人中3人(5%)しか臨床的な効果はなかった。また、少なくとも2つ以上変化があった患者24人では臨床的効果は0%だった。特に、BRAF遺伝子とPIK3CA遺伝子のどちらかに変異があった患者では効果があった例はなかった。

 また、Nicolantonio氏は「4遺伝子すべての変化を考慮すれば、抗EGFR抗体が効果ありそうにない患者を70%以上同定できる。プロスペクティブな評価で実証されれば、すぐに臨床現場で使用できる」と語った。