グリピカン3GPC3)の部分ペプチドワクチンが、進行肝細胞癌に有効である可能性が示された。フェーズ1臨床試験の結果明らかとなったもの。成果は4月18日から22日にデンバーで開催されている米国癌研究会議AACR)で、国立がんセンター東病院の中面哲也氏が発表した。研究グループは肝細胞癌切除後の再発予防を対象としたワクチンのフェーズ2試験(3mgを投与)を倫理委員会に申請しており、早ければ7月にも開始できるという。

 GPC3は、細胞膜表面上に存在する約60kDaの糖たんぱく質で、肝細胞癌の約80%で過剰に発現している。中面氏らはHLA-24(A*2402)とH-2Kdに拘束性のペプチド(298番目から306番目までの9アミノ酸からなるペプチド)とHLA-A2(A*0201)拘束性のペプチド(144番目から152番目までの9アミノ酸からなるペプチド)がGPC3に対する細胞傷害性T細胞(CTL)を誘導できることを明らかにしていた。HLA-24を持つ日本人は60%で、HLA-A2を持つ日本人は40%だ。

 フェーズ1臨床試験は、同定したペプチドを進行肝細胞癌患者に皮内に投与することで行われた。患者の持つHLAの型によって投与するペプチドを変えた。試験の主要評価項目は毒性と免疫学的な反応で、副次評価項目は最初のワクチン投与から2カ月時点の臨床的効果だった。臨床的効果は、RECISTによる評価と血清中の腫瘍マーカーレベルによる評価が行われた。ワクチン投与は2週間置きに3回行われた。投与量は0.3mg(6人)、1.0mg(6人)、3.0mg(6人)、10mg(3人)、30mg(3人)の5段階に分けて行われた。

 試験の結果、見出された毒性は、ワクチン接種部位の紅斑のみだった。免疫学的な反応は、ほとんど全員の患者で、末梢血単核球5×10の5乗個当たりのGPC3ペプチド特異的CTL数が増加していた。

 臨床効果は、最初のワクチン接種から2カ月時点の評価で、60%の患者で安定状態(SD)となった。血清中のPIVKA-IIレベルは、ワクチン接種後60%の患者で低下した。30mg接種群の1人はワクチンの3回接種後、部分奏効(PR)となり、数個の腫瘍が消失した。