日本泌尿器科学会は、最近発表された前立腺特異性抗原PSA)検診に対する、欧州と米国の2つの結果の異なった無作為化試験RCT)の結果について、欧州の試験結果が重要であると判断し、PSAを用いた前立腺癌スクリーニングの重要性を国民、医療サービス関係者、一般医に対して引き続き啓発していくとする見解をまとめた。これは4月8日に開催された第6回日本泌尿器科学会プレスセミナーで、第97回日本泌尿器学会総会会長の公文裕巳氏が明らかにしたもの。

 問題となった2つのRCTは、New England Journal of Medicine誌の同じ号(3月26日号)に掲載されたもの。1件は欧州8カ国で行われたERSPCの試験で、PSA検診が前立腺癌死亡率を20%減らすという結果が示された。もう1件は米国で行われたPLCOの試験でPSA検診は前立腺癌死亡率を減らさないというものだった。

 公文氏は、米国ではPSA検査が広く普及し、前立腺癌による死亡が減少していることを指摘し、泌尿器学会の見解を紹介した。見解は、まず、「PLCO研究は、コントロール群のコンタミネーションの問題が大きすぎて、RCT研究として既に破綻しており、科学的に価値のない研究になっている」とした。そして、「ERSPCの研究結果は科学的な見地から優れており、世界の前立腺癌研究で最も重要なエビデンスである。RCTの開始後、中央値9年間の観察で、intention-to-screen解析で、20%の有意な死亡率減少が証明された」とした。そして、前立腺癌死亡数の増加傾向に歯止めのかからないわが国の現状を鑑みて、PSA検診は重要であるとまとめた。

 4月16日の日本泌尿器科学会総会の特別講演1で、今回の問題となった2論文について科学的な検証が行われる。