米Alnylam Pharmaceuticals社は4月3日、肝癌を対象に、同社が開発するRNA干渉RNAi)治療薬「ALN-VSP」のフェーズ1試験を開始したと発表した。昨年12月に米国食品医薬品局(FDA)に治験薬申請を提出し、今年1月に受理されていたもの。

 RNA干渉(RNA interference)は、短い2本鎖RNAsiRNA)を導入することで、標的とするmRNAを分解して、遺伝子発現を停止させるもの。ALN-VSPは2つのsiRNAを含んでおり、癌細胞の増殖に関わるキネシンスピンドルたんぱく質(KSP)と血管新生を促す血管内皮細胞増殖因子(VEGF)の2つの遺伝子をターゲットとしている。

 フェーズ1試験は、肝細胞癌および進行性固形癌で、標準治療が不応もしくは標準治療で進行した患者を対象に、多施設共同のオープンラベル、用量増加方式で行われる。登録予定数は55人。主要エンドポイントはALN-VSP静注における安全性と忍容性、薬物動態とし、抗腫瘍効果およびダイナミック造影 MRI (DCE-MRI)を用いて腫瘍血管の血流や透過性の変化も検討する。

 マウスにおける前臨床試験では、ALN-VSPがKSPとVEGFの遺伝子発現を抑制し、腫瘍を縮小させることが確認された。Dana-Farber Cancer InstituteのCharles Fuchs氏は、「ALN-VSPの前臨床試験データは、2つの遺伝子を同時に標的としたRNAi治療薬の可能性を示した。RNAiに基づいたアプローチの応用は他の癌に対しても期待できるだろう」と述べている。