新しい分子標的型抗癌剤として、インスリン様成長因子1受容体(IGF1R)阻害剤の臨床開発が進んでいることが明らかとなった。3月23日から25日にオランダアムステルダムで開催された第7回International Symposium on Targeted Anticancer Therapies(TAT2009)のプレナリーセッション2で複数の演者により報告されたもの。

 抗IGF1R抗体で最も進んでいる癌種でフェーズ3に入っているfigitumumab(CP-751,871)の開発を進める米Pfizer社のAntonio Gualberto氏の発表によると、各社が開発を進める抗IGF1R抗体(IMC-A12、figitumumab、MK0646、AMG-479、R1507、Sch717454、AVE1642)を合わせると14種類の癌種で70以上の試験が進行している。行われている癌種は非小細胞肺癌卵巣癌前立腺癌肉腫肝細胞癌頭頸部癌多発性骨髄腫乳癌慢性骨髄性白血病大腸癌膵臓癌神経内分泌腫瘍副腎皮質癌だという。

 同氏の発表によると、figitumumabは、完全ヒトIgG2型モノクローナル抗体で、IGF1Rに結合し、受容体の分解を誘導する製剤。既に1000人を超える患者に単剤や併用療法で投与され、忍容性が確かめられているという。IGF1R阻害剤によく見られる高血糖症が主な副作用だ。フェーズ1試験でユーイング肉腫に効果が認められ、進行非小細胞肺癌患者を対象にファーストラインとしてfigitumumabをパクリタキセルカルボプラチンと併用投与するフェーズ2試験で効果が確認されている。

 同氏は現在進行している3件のfigitumumabのフェーズ3試験を紹介した。ひとつはA1016試験で、進行非小細胞肺癌患者(腺癌以外)を対象にファーストラインとしてfigitumumabをパクリタキセル、カルボプラチンと併用投与する群(410人)とパクリタキセルとカルボプラチンのみを投与する群(410人)を比較するもので、主要評価項目は全生存(OS)だ。

 もう1つはA1018試験で難治性で非腺癌の非小細胞癌患者を対象に、エルロチニブと併用する群(300人)とエルロチニブのみの群(300人)に分けて比較するものだ。

 最後に紹介した試験はA1017試験で、非小細胞肺癌を対象にゲムシタビン、シスプラチンと併用する群(550人)とゲムシタビン、シスプラチンのみを併用する群(550人)に分け、実施されている。

 一方、米OSI Pharmaceuticals社のAndrew Stephens氏は低分子のIGF1R阻害剤の開発の現状を報告した。同氏の発表によると、4種類のIGF1R阻害剤がフェーズ1に入っており(BMS-754807、BVP-51004、OSI-906、XL-228)、チロシンキナーゼ阻害剤がほとんどを占めるという。

 OSI社が開発を進める選択的IGF1Rチロシンキナーゼ阻害剤OSI-906は、IGF1Rとインスリン受容体(IR)を高度に阻害する。エルロチニブの効果を高める可能性や、他の化学療法剤と併用することで腫瘍の細胞死を促進する可能性があるという。

 現在、連続的にOSI-906を投与するOSI-906-101試験、間欠的にOSI-906を投与するOSI-906-102試験、OSI-906とエルロチニブを併用投与するOSI-906-103試験の3件のフェーズ1が行われているという。一部では抗腫瘍効果が確認されているという。