性腺刺激ホルモン放出ホルモンLH-RHアゴニストによる早期閉経予防効果は、化学療法により早期閉経が生じやすい35歳以上で効果がある可能性が示された。これは、3月11〜14日にスイスSt.Gallenで開催されたPrimary Therapy of Early Breast Cancer国際会議で、国立病院機構大阪医療センター小川昌美氏らが発表したもの。

 化学療法の副作用の1つとして、閉経時期を早めることが知られている。早期閉経のリスクは年齢が上がるほど高まり、40代以上の女性では化学療法(アントラサイクリンを含む)により約半数が閉経し、その結果、不妊となると言われている。これまでにも、化学療法開始前に、LH-RHアゴニストを投与することで、卵巣機能が保護できる可能性が示されているが、日本人を対象にした臨床試験は限られている。

 今回、小川氏らは、45歳以下で、グレード1〜3の乳癌患者69人を対象に、LH-RHアゴニスト製剤(ゾラデックス)を化学療法と併用する群と、併用しない対照群に分け、早期閉経の予防効果を検討した。

 その結果、化学療法後に月経が再開した割合は、併用群で20人中の15人(75%)、対照群で37人中20人(54%)と、併用群で高い傾向を示したが、有意差には至らなかった(p=0.121)。

 ただし、対象者を35歳未満と35歳以上に分けて検討したところ、35歳以上で、有意差を持って併用群の月経再開率が高くなっていた。一方、35歳未満では、併用の有無にかかわらず、化学療法終了後、ほとんどの患者が速やかに月経を再開していた。

 小川氏は、「35歳未満の若年の場合、化学療法による早期閉経リスクが低く、LH-RHアゴニストの併用効果がないと考えられる。その一方で、早期閉経リスクがより高い35歳以上では、併用の効果があると言えそうだ」と語った。

 また、今回の試験では、LH-RHアゴニストの安全性も評価されたが、併用により有害事象が高まることはなかった。また、投与後の中間追跡期間42カ月の間、無病生存期間に有意差は出ていない。