米ARIAD Pharmaceuticals社は3月2日、米Merck社と共同開発中の経口癌治療薬deforolimusを、進行した非小細胞肺癌患者に投与して安全性と有効性を調べる多施設フェーズ2試験が始まったと発表した。

 deforolimusは、mTOR(mammalian target of rapamycin:哺乳類のラパマイシン標的たんぱく質)に対する阻害剤だ。mTORは、細胞分裂や細胞の成長、生存、そしてオートファジー(自食作用)などに関与しており、癌細胞においてmTORを阻害する戦略は有望と考えられている。既に複数のmTOR阻害薬が臨床試験段階にあり、米国では癌を対象に市販許可を得た製品(テムシロリムス)もある。

 Merck社とARIAD社は2007年の協力契約に基づき、deforolimusの共同開発と商品化を進めている。現在いくつかの種類の癌を対象に、この製品を単剤で投与、または他の癌治療薬と併用する複数の臨床試験が進行中だ。ARIAD社は、フェーズ2試験開始を機に、1000万ドルの成果達成報酬を受け取る予定だ。

 米国内外の約38の医療機関で行われるフェーズ2は、二重盲検の無作為化治療中止試験の設計になっている。対象は、これまでに2通りの治療が失敗に終わった患者で、腫瘍にKRASの変異が認められる人々だ。約150人の登録が予定されている。

 肺癌細胞にKRAS変異が存在すると、エルロチニブ(商品名:タルセバ)などの上皮成長因子受容体EGFR)阻害薬に対する反応が悪いことが知られている。

 登録患者は当初、全員がdeforolimusの単剤投与を受ける。この段階で奏効した患者にはそのまま治療を継続、反応しなかった患者については治療を中止する。無作為化試験は、deforolimusによって病態安定を示した患者を選んで行う。該当者をdeforolimusまたは偽薬に割り付け、有効性と安全性を比較する予定だ。支持療法は両群に同様に適用されることになっている。

 主要エンドポイントは、無作為割り付け群の無増悪(進行なし)生存率に設定されている。

 deforolimusの前臨床試験結果は、4月開催予定の米癌研究学会(AACR)で報告されるという。