妊娠中に乳癌と診断された女性の予後は、妊婦でない同年齢の乳癌患者に比べ、不良だとされてきたが、新たな後ろ向き分析の結果、再発/転移率生存率には差がないことが明らかになった。半面、妊娠女性の乳癌の診断、治療は遅れる傾向があり、改善が必要という。米Texas大学M. D. Anderson癌センターのBeth M. Beadle氏らの研究成果で、詳細はCancer誌電子版に2009年2月9日に報告された。誌面掲載は3月15日号になる予定だ。

 妊娠中または産後1年間に発症する乳癌(妊娠関連乳癌:PABC)はまれだが、治療に当たる医師たちは、母体と胎児のどちらの健康を優先すべきか、というジレンマに苦しむ。40歳未満の乳癌患者の10%は、妊娠中の発症という報告がある。先進国の妊娠年齢は持続的に上昇しており、PABCの罹患率は今後さらに上昇する可能性がある。

 研究者たちは、妊娠が乳癌の臨床転帰に及ぼす影響を明らかにするため、35歳以下の乳癌患者652人(乳癌が発見された乳房は668個−両側乳癌患者を含む)に関するデータを後ろ向きに分析した。

 その結果、PABCに分類された乳房は104個(15.6%)、うち51病変は妊娠中に、53病変は産後1年間に発見された。生存していた患者の追跡期間の中央値は114カ月だった。

 PABC患者では非PABC患者に比べ、診断時の病期がより進行した段階にあった(T分類、N分類、ステージのいずれについても有意:p<0.04)。

 しかし、PABC患者と非PABC患者の間で、10年間の局所再発率(23.4%と19.2%、P=0.47)、遠隔転移率(45.1%と28.9%、P=0.40)、全生存率(64.6%と64.8%、P=0.60)については、有意な差は見られなかった。

 なお、妊娠中の乳癌発症者で、妊娠中に何らかの治療を開始したグループと、出産後に治療を始めたグループを比較すると、全生存率は前者の方が良好である傾向が見られた(78.7%と44.7%、P=0.068)。

 得られた結果は、35歳以下のPABC患者では、非PABC患者と比べてより進行した癌が見つかっているにもかかわらず、10年間の局所再発率、遠隔転移率、全生存率には差がないことを示した。著者らは、プライマリケア医と産科医は、妊婦の乳房の症状に注意を払い、乳癌の早期診断と集学的治療の早期開始を目指して努力する必要があると述べている。