重粒子線治療に伴う急性皮膚有害反応の軽減、有害反応からの回復の促進にジメチルイソプロピルアズレン軟膏アズレン軟膏)の予防的塗布が有用である可能性が示唆された。現在、重粒子線治療では、皮膚反応グレード1出現でアズレン軟膏を塗布し、グレード2出現後にステロイド軟膏が追加されている。今回示された結果は統計学的な有意差はついていないが、傾向を示したことで、今後の重粒子線治療の皮膚有害反応軽減化につながる可能性がある。

 成果は2月7日から8日に沖縄県宜野湾市で開催された第23回日本癌看護学会学術集会で、放射線医学総合研究所重粒子医科学センター病院の阿部玉枝氏によって発表された。

 研究グループは、アズレンの予防的塗布効果を検討するため、頭頸部癌で皮膚線量50%以上の患者を対象に臨床研究を行った。I群(10人)には従来と同様、グレード1出現後、アズレンの塗布を開始した。II群(10人)には、照射開始日から予防的に塗布を開始した。皮膚反応の出現状況と治癒の経過を入院中と退院後外来受診日に評価し、比較した。

 評価指標はグレード1発症時期、最大皮膚スコア、最大グレード発症時期、治癒課程、患者の自覚症状とした。アズレンの塗布は朝、就寝前の1日2回、チューブから0.5gを塗布した。総線量はI群が57.6-70.4GyE(62.7±4.0GyE)、II群が57.6-64GyE(62.7±2.7GyE)だった。最大皮膚線量はI群が28.8-51.2GyE(43.3±9.4GyE)、II群が38.4-54.4GyE(47.4±5.3GyE)だった。

 研究の結果、I群はグレード1の皮膚反応が7人、グレード2が3人で、グレード0はいなかったが、II群はグレード0が2人、グレード1が6人、グレード2が2人だった。また、最大皮膚スコアがグレード1の患者の最大皮膚線量は、I群が低い傾向があった。グレード1発症日平均はI群が早く、グレード2発症日平均は差異がなかった。皮膚反応発症時線量は、I群が49.5±9.9GyE、II群が51.2±10.8GyEと、II群で高線量となった。自覚症状では、掻痒感はII群の方が多かったが、疼痛はII群の方が少なかった。また、II群の方が皮膚反応消失が早い傾向にあった。