大腸癌の予後を規定する因子を解明するため、さまざまな分子マーカーを探る研究が進んでいる。3000人を超える患者を対象とした臨床試験で得られた組織を分析したところ、患者の病期がステージIIかステージIIIかによって、発現している分子マーカーが異なることが明らかになった。スイスのジュネーブ大学病院のA.D.Roth氏がサンフランシスコで開催された2009 Gastrointestinal Cancers Symposium (ASCO GI)で報告した。

 3278人の大腸癌患者に術後補助化学療法を行ったPETACC3試験で、組織の得られた1564人を対象とした。ステージIIが420人、ステージIIIが984人だった。分析を行った因子は、DNA複製の際のずれやすさを示すマイクロサテライト不安定性(MSI)、癌との関連が明らかになっているp53、SMAD4、18qLOH、チミジル酸シンテターゼ(TS)などで、それぞれの発現率や予後との関連(無再発生存率のデータを使用)を調べた。

 その結果、多くの因子でステージごとの発現の違いが認められ、中でもMSIとTSでは有意差がみられた(p<0.0001)。予後と発現率との関連をみたところ、ステージIIではMSI、18qLOH、TSが、ステージIIIではp53、SMAD4が予後因子と考えられた。

 A.D.Roth氏は「今回の結果は、ステージごとの予後因子の違いを示しているのかもしれないし、ステージIIとIIIの分類が不正確なために起こった現象かもしれない。ただ、大腸癌の進展過程において、連続的なものではない何らかの劇的な変化が起こっている可能性が高い」と話した。