現在、切除不能な大腸癌肝転移に対し、FOLFOX療法FOLFIRI療法が広く行われている。こうした全身化学療法の前に5-FUを肝動脈内に注入する肝動注化学療法を行うと、肝転移の状態が改善され、治療成績の向上につながる可能性があると、愛知県がんセンター中央病院IVR科の佐藤洋造氏が2009 Gastrointestinal Cancers SymposiumASCO GI)で報告した。

 佐藤氏らは、2002年4月から2007年7月までに肝動注化学療法を行った重度の肝転移がある大腸癌患者60人(男性33人、女性27人、平均年齢62歳)と、2005年3月から2007年7月までにFOLFOX6またはmFOLFOX6療法を行った同様の患者20人(男性12人、女性8人、平均年齢63歳)の治療成績をレトロスペクティブに比較した。

 その結果、奏効率は肝動注群で57%、FOLFOX群で40%、生存期間中央値は肝動注群で24カ月、FOLFOX群で20カ月だった。グレード3以上の重篤な有害事象は、肝動注群では5%(好中球減少1人、血小板減少1人、肝機能障害1人)にとどまったのに対し、FOLFOX群では45%(好中球減少8人、肝機能障害1人)と高率だった。さらにFOLFOX群では、軽度のものも合わせると知覚神経障害が100%、アレルギー反応が20%にみられた。

 さらに、治療成功期間は肝動注群9カ月、FOLFOX群5.6カ月だった。肝動注群では肝動脈塞栓による治療中止が7%だったのに対し、FOLFOX群では神経障害やアレルギー反応などにより40%の患者が治療を中止していた。

 こうした結果から佐藤氏は「予後を左右するような重度の肝転移がある患者では、先に肝動注化学療法を行って肝臓病変を縮小させた後に全身化学療法を行う治療法が有益と考えられる」と結論づけた。

 現在、国内約40施設の参加により、この治療法の有用性を確かめる第III相試験が始まっている。結果が得られるまでには数年かかるとみられるが、今後の研究の進展が待たれる。