完全ヒト抗上皮成長因子受容体EGFR)抗体パニツムマブ転移性大腸癌に対する臨床効果は、KRASの野生型で高いことがわが国で行われたフェーズ1臨床試験とフェーズ2臨床試験の結果のレトロスペクティブ解析で明らかとなった。欧米で示されたものと同様な傾向が日本でも確認されたことになる。成果は1月15日から17日にサンフランシスコで開催された2009 Gastrointestinal Cancers SymposiumASCO GI)で国立がんセンター東病院の土井俊彦氏によって発表された。

 KRAS遺伝子の解析は国内のフェーズ1試験、フェーズ2試験に参加した患者のパラフィンに埋め込まれた試料を用いて行われた。臨床効果はRECISTによる評価を行った。フェーズ1に参加した18人中8人、フェーズ2に参加した53人中16人でKRASの解析が可能だった。

 わが国でのフェーズ1、フェーズ2試験は共に転移性大腸癌に単剤投与で行われた。フェーズ1試験は、進行固形癌患者を対象に、3つのコホートに分けて行われた。毎週1回2.5mg/kgを投与するコホート、2週置きに6.0mg/kgを投与するコホート、3週置きに9.0mg/kgを投与するコホートから構成された。フェーズ2試験はフルオロピリミジン、イリノテカン、オキサリプラチンの化学療法を受けても病気が進行した転移性大腸癌患者を対象に2週置きに6.0mg/kgが投与された。

 KRASの評価が可能だった24人のパニツムマブによる抗腫瘍効果は部分奏効(PR)が4人(17%)、安定状態(SD)が7人(29%)、進行(PD)が13人(54%)だった。24人中14人がKRAS野生型で10人がKRAS変異型だった。PRが得られたのは全てKRAS野生型群でSDも7人中6人がKRAS野生型群だった。KRAS野生型群のみで抗腫瘍効果を評価するとPRが29%、SDが43%、PDが29%となった。無増悪生存期間中央値はKRAS野生型群が13.2週(95%信頼区間8.0-23.1)、KRAS変異型群が7.3週(95%信頼区間7.1-7.6)だった。

 治療に関連した副作用の大部分は、中等度から軽度で皮膚に関連したものだった。頻度が高かった副作用は爪周囲炎(KRAS野生型で64%、変異型で40%)、倦怠感(KRAS野生型で64%、変異型で60%)、乾皮症(KRAS野生型で57%、変異型で70%)、食欲不振(KRAS野生型で50%、変異型で70%)、皮疹(KRAS野生型で50%、変異型で70%)、座瘡(KRAS野生型で43%、変異型で30%)、掻痒(KRAS野生型で43%、変異型で20%)、座瘡状皮膚炎(KRAS野生型で43%、変異型で0%)だった。

【訂正】
2/20に以下を訂正しました。
・最後から2段落目、「無増悪生存期間中央値はKRAS野生型群が13.2カ月(95%信頼区間8.0-23.1)、KRAS変異型群が7.3カ月(95%信頼区間7.1-7.6)だった。」は「無増悪生存期間中央値はKRAS野生型群が13.2週(95%信頼区間8.0-23.1)、KRAS変異型群が7.3週(95%信頼区間7.1-7.6)だった。」でした。以上、お詫びして訂正します。